自殺者6年ぶり増 神奈川、50代以上の各年代で増加

 昨年1年間の神奈川県内の自殺者数は前年比63人増の1276人で、6年ぶりに増加に転じたことが3日、県のまとめで明らかになった。ただ、過去20年間では2016年に続き2番目に少なく、前年全国最低だった人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)も14・0%と全国3番目の低水準を維持したものの、50代以上の各年代でいずれも増加。高齢者の孤立防止など対策が求められる結果となった。

 県警のデータを基に県が集計・分析した。男性は前年比51人増の888人、女性は12人増の388人。年代別では10~40代がいずれも減少したものの、50代が29人増の246人、60代が6人増の191人、70代が34人増の174人、80代以上では17人増の101人だった。

 職業別でみると、自営業が12人減って64人、被雇用者・勤め人が7人減の377人となる一方、全体の63・6%を占めて最多の無職は92人増の811人。うち「年金・雇用保険等生活者」が80人増の312人で押し上げた。動機別(複数計上)では健康問題が37・9%、経済・生活問題14・3%、家庭問題が12・1%と続いた。

 県内の自殺者数は、1998年以降1500~1700人台で推移し、2007年からは1800人台に増加。11年を境に減少が続いていた。

 県は16年施行の改正自殺対策基本法で各自治体に義務付けられた予防計画を今年3月に策定。16年に14・6%だった自殺死亡率を、21年に12・4%以下にすることを掲げ、危険察知など早期対応につなげる人材「ゲートキーパー」の養成や、情報通信技術(ICT)の活用などによる若年者への支援などを盛り込んだ。

 県がん・疾病対策課は「健康面や経済的な理由が多く、市町村や民間団体とも連携し今後どういった支援ができるか検討していきたい」と話している。

県内の自殺者数と自殺死亡率の推移

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