有明海再生事業の継続など国に要望 判決受け有明海漁協など

 国営諫早湾干拓事業の開門確定判決を事実上無効にした福岡高裁判決を受け、佐賀県の徳永重昭有明海漁協組合長と山口祥義知事が3日、農林水産省を訪れ、斎藤健農相にこれまで求めてきた有明海再生事業の継続や、調整池からの小まめな排水のマニュアル化、排水ポンプの増設を改めて要望した。
 要望書提出後、徳永組合長は、望んでいた和解に至らなかったことを指摘しながら「有明海再生をみんなが願うようにできれば」と話した。山口知事は、原告の共同漁業権消滅を主な理由にした今回の判決を「形式的なところで(の判断)というのはみんなの思いとは若干乖離(かいり)している」と違和感を口にした。
 斎藤農相は同日の閣議後の会見で「開門を前提としない基金による解決を目指すという基本方針は変わっていない」と強調。来年度の概算要求に基金の必要経費を盛り込むかどうかについては「判断したわけではないが、必要な予算的対応はきちんとやる」とした。
 判決は7月30日、国の請求を認め、確定している「開門命令」を無効とし、国が漁業者に支払っている間接強制金の停止を認めた。開門を求める漁業者側は上告する方針。

斎藤農相に要望書提出後、報道陣の質問に答える山口知事(右)=農水省

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