あすから「四萬六千日祭」 福石観音清岩寺

 山門をくぐると、ほんのりとともった献灯籠のアーチが本堂へと続く。参道沿いには、歩き慣れないげたを履いた浴衣姿の子どもたちが、金魚すくいや綿あめの露店に列をつくる-。
 100年以上地元で親しまれるそんな情景が、長崎県佐世保市福石町の福石観音清岩寺で今年も見られる。毎年8月8~10日に開かれる「四萬六千日祭」。祭りを支える奉賛会や実行委などの有志は「約8千人の参拝者が楽しみにしている」と、準備に汗を流している。
 2日の朝、大師堂では奉賛会のメンバーらが、参道に掲げる灯籠に協賛者名を書き込む作業に取り組んでいた。祭りの2週間以上前から、個人宅や事業所など約200軒を訪ねて浄財を集める。会長の岡田文俊さん(68)は「手伝えるのは元気な証拠。あの人も元気にしているかな、と思いながら一軒一軒回っている」と目尻を下げる。
 若い世代に慣れ親しんでもらいたいと、昨年からは積極的に学生を巻き込んでいる。「このやぐらは、県立大ボランティア部の学生が組み立ててくれたんだよ」。メンバーはうれしそうに話しながら、約4メートル幅の灯籠を3人がかりで運び、ロープで取りつけていた。
 近くの市立福石中美術文芸部は、祭りのシンボルマークをデザイン。うちわにして参拝者に配り、祭りを盛り上げる。
 期間中は、本尊「十一面観世音菩薩像」を開帳。1日参れば、4万6千日(126年)分の御利益が受けられるとされ、列をなす参拝者の姿が見られるという。住職の松本一盛さん(62)は「この季節になると、願う人の思いはいつの時代も変わらないと感じる。年に1度の大祭を、多くの人に楽しんでほしい」と顔をほころばせた。涼しげな風鈴の音色が、さまざまな思いを抱えた人々を出迎える。
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 ▽各日午後8時=結縁大護摩祈祷(きとう)▽8日午後7時=○×クイズ大会(小学生以下対象)▽9日午後8時半=DJ盆踊り▽10日午後8時=浴衣コンテスト。このほか、歌やダンスなどのステージイベントを用意している(午後6時半~9時)。問い合わせは実行委事務局(電0956・42・6040)。

灯籠を設置する祭りの関係者=佐世保市、福石観音

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