弥生、古墳時代の遺物発掘 松浦・太田遺跡

 西九州自動車道の松浦佐々道路建設工事に伴う発掘調査で、長崎県松浦市御厨町寺ノ尾免の試掘地点から弥生時代や古墳時代の遺物が見つかった。県と同市は昨年度、小字の名から「太田遺跡」として登録。この夏、本格的な調査を進めている。県埋蔵文化財センターは「ここでの何らかの営みがあったことが推察できる。地域の歴史を知る上で意義のある発見」としている。
 4日午後、気温30度を超える暑さの中、太田遺跡では子どもたちが額に大粒の汗を浮かべて調査を手伝っていた。
 「スコップで丁寧に土を取り除いてね」
 センターが企画した発掘体験が同日、現地であり、地域の子どもや保護者計約30人が参加した。子どもたちは調査員のアドバイスを受けながら土を掘り進め、土器とみられる破片を発見。過去を物語る遺物を掘り当て、笑顔を見せていた。
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 太田遺跡は、昨年10月、県が実施した試掘調査で土器片や石器など見つかった丘陵の裾部。発見を受け、県と同市が遺跡地図に登載。現在、県が一帯の430平方メートルを本格的に調べている。
 センターによると、見つかっている遺物は弥生時代のつぼの破片や古墳時代の土器「須恵器(すえき)」など。弥生時代の土器が素焼きで作られていたのに対し、古墳時代の須恵器は窯で焼かれた物。色合いや質感に違いがあるという。
 同遺跡では土器のほか石器や剥片などの遺物が見つかっており、状態が良いものも多いという。このほか遺跡内には土が赤く変色した部分も見つかっており、人々が調理をしたり、何かを製作したりした痕跡と推察できるという。
 松浦市周辺では、同時代の埋葬遺構や集落跡が発見された遺跡があり、今後は関連も含めて調査が進められる。センターの寺田正剛調査課長は「当初、予定していなかった場所での発見。また新たな成果が見つかるかもしれない」と話している。現地での発掘は8月末まで続けられるという。

新たに発見され、調査が進められている太田遺跡=松浦市御厨町、同遺跡

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