ジョージ・クルーニー主演×スティーブン・ソダーバーグ監督で大ヒットしたシリーズの新作だ。とはいえ、今回はキャストを一新、クルーニーが演じたダニー・オーシャンの妹デビーを主人公に、彼女が率いる女性だけの犯罪チームが、衆人注目の中で1.5億ドル相当の宝石強奪大作戦を繰り広げる。
そもそも、フランク・シナトラ主演の『オーシャンと十一人の仲間』をリメークしたシリーズ第1作『オーシャンズ11』は、娯楽性豊かな痛快犯罪劇だった。だが、ソダーバーグは、その大ヒットを利用して2作目、3作目では持ち前の実験精神を解放。見た目の豪華さや痛快さを隠れ蓑に、野心的な試みを実践していた。それに対して、11年ぶり4作目となる今回は、これまでのシリーズの続編というよりもむしろリブートに近く、1作目に原点回帰している。ソダーバーグは製作に回って、監督は『ハンガー・ゲーム』のゲイリー・ロスに。
だから、個性豊かなプロフェッショナル集団による犯罪を扱った“ケイパームービー”の王道をいく内容で、そこに人種やジェンダーへの配慮といった現代性やシリーズへのオマージュが盛り込まれている。伏線が散りばめられ、二転三転する展開自体は決して単純ではないのだが、裏に潜む作り手の野心=実験精神は微塵もなく、その意味では娯楽に徹した単純明快な作品といえよう。★★★☆☆(外山真也)
監督:ゲイリー・ロス
出演:サンドラ・ブロック、ケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ
8月10日(金)から全国公開