沖縄はなぜ新基地建設に反対するのか 戦争体験者が講演

 戦争体験者を招いた学習会が7日、神奈川県横須賀市長沢の北下浦市民プラザで開かれた。両親が沖縄出身で、サイパン生まれの眞喜志康正さん(75)=逗子市=が小中学生や地域住民ら約20人を前に講演。平和の尊さを訴え、戦争に連なる米軍基地に反対する沖縄への理解を求めた。横須賀市民九条の会の主催。

 眞喜志さんの両親は仕事を求めて、当時2万人以上の沖縄県民が暮らしていたサイパンに移住。1944年に米軍が上陸して地上戦が始まり、一家は、追い詰められた日本人が海に身を投げた「バンザイクリフ」で拘束され、収容所で終戦を迎えた。

 横須賀に引き揚げ、眞喜志さんが大学生の時に父が他界。沖縄出身を理由に差別を受けながらも必死に働き続けた父の死を報告するため、親戚の墓参りに初めてルーツの沖縄を訪れた。

 美しい海に感動すると同時に、金網で隔てられた広大な米軍基地を目の当たりにして、「沖縄は基地の中にある」と実感。これまで感じてきた不条理を胸に、「戦争も貧乏もない日本にしようと、自分の進む道がはっきり見えた」と振り返った。

 今も平和運動を続ける眞喜志さんは辺野古新基地建設問題などに触れ、「沖縄からサイパンに行った人は2人に1人が戦争で亡くなった。沖縄の人は戦争につながるものは欲しくないのだと、皆さんにも分かってほしい」と呼び掛けた。

戦争体験や平和への思いを語る眞喜志さん=横須賀市長沢

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