金属行人(8月8日付)

 非鉄製錬業界の4~6月期決算発表は今週にピークを迎える。足元の非鉄金属価格はやや弱含みで推移しているが、銅や亜鉛、ニッケルなどの価格が前年同期に比べ高水準で推移したことに加え、電子材料などの需要も堅調に推移したことから比較的順調な滑り出しとなったのではないか▼ただ、先行きの不透明感は期初に比べて強まっている。米中貿易摩擦の長期化が世界経済に深刻な影響を及ぼしかねないとする懸念が拭い切れない。米中貿易摩擦と中国経済の減速懸念を嫌気した投機資金の流出で、この1カ月ほどの非鉄金属価格はずるずると値を下げている▼一方で足元の実需は堅調だ。非鉄金属の需給バランスはおおむね年初に想定されていたシナリオ通りに推移している。国内では半導体向けをはじめとする材料需要が引き続き好調で、製品によっては需給がひっ迫した状況が続いている▼今後も新たな経済社会「Society5・0」に向けて非鉄金属素材が果たす役割は高まっていく。業界では次世代自動車やIoT・AIといった将来の需要を見据えた投資や技術開発を加速させる動きもすでに見られる。外的環境に左右されず、前に進み続ける業界の姿が頼もしい。

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