アボカド使ったケーキが「神奈川賞」 藤沢のカフェ 各地から注文も

 藤沢駅南口近くのカフェ「カフェパンセ」(藤沢市鵠沼橘1丁目)の看板商品「こだわりのモカチーズとアボカドのタルト」が今春、優れた贈答品などを顕彰する「日本ギフト大賞」の「神奈川賞」に輝いた。店主の金井元さん(61)が脱サラし、開店して今年がちょうど30周年。節目の年の受賞に「藤沢の小さなお店のケーキに光が当たったのはうれしい」とほほ笑む。

 江ノ電の線路沿いにたたずむカフェの店内はコーヒーの香りが漂い、カウンターには手作りのケーキが並ぶ。最新商品はアイスケーキ。マンゴーとパッションフルーツのゼリー、マンゴーの果肉がレアチーズケーキの上に乗る。金井さんは「猛暑だから少しでも食べやすいように、と。独自性がないとケーキ屋さんには勝てないよ」と笑う。

 1988年にオープン。当初ケーキは2種類しか置いていなかったが、女性客から種類を増やしてほしいという注文がありケーキ作りを始めた。

 「素人だからビジュアルから入った。見た目で『おいしいそう』と思えるものと考え、まず色彩を決めて材料を考える」。桜の塩漬けを煮出して作ったゼリーが乗る「桜のレアチーズタルト」や、リンゴをラズベリーソースでマリネして並べた「バラのタルト」などは、そうした発想から生まれた人気商品だ。

 神奈川賞を今回受賞した「モカチーズとアボカドのタルト」は、チョコレートとエスプレッソ、クリームチーズのクリームの上にアボカドを敷き詰め、ケーキの表面にはクコの実とクルミ、ブラックペッパーをちりばめた。カウンターに並べると「コーヒーだけではなくワインにも合う」と話題になり、たちまち看板商品となった。

 地域色豊かな日本ギフト大賞の各都道府県賞に選ばれたように、近年は、地元湘南のしらすとトマトを使ったキッシュなど藤沢ならではの商品も手掛ける。日本各地から注文が入り、店内では企画展やコンサートが開かれて市民やアーティストが集う。

 金井さんは言う。「会社員を続けていたら、知り合えなかったであろう、いろいろな人に出会える。それが何よりうれしい」

日本ギフト大賞の神奈川賞を受賞したモカチーズとアボカドのタルト

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