「戦争の悲惨さ語り継ごう」 三浦の郷土資料館3年ぶり特別展

 太平洋戦争を取り上げた特別展が、郷土資料館「チャッキラコ・三崎昭和館」(三浦市三崎)で行われている。戦後70年の年に集大成として企画したのを最後に展示を終えていたが、高齢化に伴って体験者が少なくなる中、「戦争の悲惨さを語り継ぐべきだ」との市民の声に背中を押され、3年ぶりに再開した。同館は「戦争や平和について、語り合うきっかけにしてほしい」と願っている。

 今回は戦時中の庶民に焦点を当て、市民から寄せられたり、同館が作成したりした写真や資料約70点を展示した。

 1941年から44年にかけ、市内の遠洋漁船29隻が軍に徴用されて輸送に従事し、20隻が撃沈された。三崎実科高等女学校では戦意高揚のため、生徒に飛行機の模型を作らせ、その優劣を競わせた。本土決戦に備え、海沿いを中心に、市内には砲台などの軍事施設や特攻基地が建設された。こうした戦時中の歴史や様子を紹介している。

 同館は2012年から毎夏、太平洋戦争を中心に戦争に関する特別展を開いてきた。戦後70年の15年にはその総集編として、およそ100点の写真や資料を並べ、展示を終えた。

 ただ市民から「平和の尊さや戦争の悲惨さを語り継ぐべきだ」との声が多く寄せられ、体験者が少なくなるとの危機感もあり、再開を決めた。

 1945年3月10日の東京大空襲の犠牲者の姿をとらえた写真も初めて展示した。同館を運営する「サポーターみうら」の山口勝会長(87)は「戦争が起きたら最も被害を受けるのは一般市民ということを知ってほしい」と訴えている。

 31日までで、午前10時から午後4時まで。入場無料。水・木曜休館。問い合わせは、同館電話046(882)3156。

展示資料について説明する山口会長=チャッキラコ・三崎昭和館

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