新日鉄住金ステンレス、省合金二相鋼厚板が道路橋に初採用 「隅田川テラス」の一角

 新日鉄住金ステンレス(NSSC)の省合金二相ステンレス厚板「SUS323L」を主要部材に採用した道路橋(テラス橋)が「隅田川テラス」の一角に設置された。ステンレス厚板製の道路橋は国内初。水門と道路橋を合わせた耐震補強工事の一環で、このほど橋の架け替えが完了した。日本鋼構造協会が土木構造物のステンレス化のため策定した「ステンレス鋼土木構造物の設計・施工指針(案)」に準拠した初の事例となる。

 東京都は隅田川両岸の河川敷を隅田川テラスとして順次整備している。水路による分断箇所の多い隅田川テラスを道路橋で連続化させることを含めて、魅力的な水辺空間の創出を図っている。

 今回の案件は隅田川と仙台堀川の合流地点に位置する道路橋の架け替え工事。排水機場に隣接する立地上の制約から排水機場の工事時には取り外しが可能なこと、桁下が低く再塗装が困難なためメンテナンスフリーであること、従来の2メートルから3メートルに拡幅しながらも平坦な橋面を実現する高強度の材料であることなどが求められ、NSSCのSUS323Lが採用された。

 発注者は東京都で工事名は清澄排水機場(吐出樋門)耐震補強工事、受注者は大豊建設・黒部建設JVで橋梁製作は楢橋製作所。橋の有効幅は3メートル、支間長は18メートル。NSSCは道路橋に9ミリ厚の厚板を約10トン、吐出樋門に9ミリ、12ミリ厚などの厚板約40トンを納入した。全体の完成は2019年3月の予定。

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