不戦の願い 共に世界へ 国連事務総長、被爆者と面会 核廃絶へ決意表明

 「核のない世界を目指し、歩みを進めることが私たちの役割だ」。9日の平和祈念式典に初めて参列する国連のグテレス事務総長は8日、長崎市内で長崎の被爆者らと面会し、核廃絶に取り組む決意を表明した。
 面会したのは、長崎の被爆者5団体の代表や広島の被爆者ら8人。県被爆者手帳友愛会の中島正徳会長代行(88)は「長崎、広島での残酷な状況を全世界の人に訴えたい」として、核廃絶への機運の高まりに期待した。
 グテレス氏は、被爆者から原爆で家族を失ったことや不戦の願いも聞き「大きな感銘を受けた。広島、長崎の記憶を薄れさせてはいけない。皆さんのメッセージを一緒に世界へ伝えたい」と協力姿勢を示した。
 また、核兵器の近代化を進める国があることを憂慮し「この流れを食い止め、逆行させないといけない」と指摘。核兵器禁止条約に不参加を表明している日本政府を巡っては、長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(77)が「腹立たしく、悲しい」と訴えた。グテレス氏は「日本が核軍縮や不拡散の分野で指導的役割を果たしてきたことは理解している」と述べるにとどめた。
 田上富久長崎市長や松井一実広島市長らとも面会。核廃絶に向けた被爆地の取り組みを「国連は全面的にサポートする」と語った。

被爆者との面会で「核のない世界を目指す」などと決意を示すグテレス国連事務総長(中央)=長崎市大黒町、ホテルニュー長崎

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