【日鉄住金物産・新体制の大阪支社、課題と展望】〈嶋田俊治支社長(取締役常務執行役員)〉販売30%増目指す 自動車、造船、棒線向けなど強化

――4月に三井物産スチール(MBS)から新日鉄住金他の鋼材営業が移管され、組織など新体制になった。

 「大きく言えば、自動車、造船、棒線向けが増えた。MBS関西支社・中国支店・四国支店・中津支店から33人が移籍し引き継ぎも順調だ。組織では従来の大阪プロジェクト、厚板、薄板、建材薄板、棒線・特殊鋼、建設建材、鋼管、鉄源の8営業部に加えて、自動車鋼板営業部および中津支店を新設した。支店は新設の中津と、従来からの中国、四国の3支店。営業所は中国支店の岡山と小野田、四国支店の愛媛の計3営業所で、9営業部・3支店・3営業所体制となった。人員は合計180人強」

 「自動車鋼板営業部中津支店はMBS中津支店をそのまま移管した。造船営業は従来厚板営業でやっていたが、本社に造船鋼材営業部が新設され、瀬戸内海地区の造船営業として四国支店に造船課を新設した。広島支店も販売先の増加で鋼材第一課、第二課に分けた」

日鉄住金物産・嶋田大阪支社長(取締役常務執行役員)

――数量の増加は。

 「全体で400万トンが移管されたが、うち60%の約240万トンが国内。その20%弱が大阪支社扱いとなり、従来分と合わせ約300万トンの数量になる」

――新中期計画の中で大阪支社はどんな展開を。

 「『中計2020』は、鉄鋼、産機・インフラ、繊維、食糧の『四つの事業力を一つに、顧客と社会にさらなる貢献をするエクセレントカンパニーへ』ということで『4ビジネス・1サクセス』をテーマに、経営基盤固めからさらなる成長戦略へシフトしていく。このうち鉄鋼事業本部は『未来を拓く志、Co―Creationの鉄事業』をテーマに鉄全体を伸ばしていく計画だ。大阪支社としても量の拡大を目指す。数量にこだわっていく。内需は総体的に減る傾向だが、存在感を高め、機能を深化させて大阪・中四国でのポジションを高め、各品種でシェアを上げていきたい。扱い量を2017年度実績に対し30%引き上げていくのが中計での目標だ」

――グループ会社との連携は。

 「支社管轄のグループ会社はコイルセンター3社、鋼管3社、厚板・ステンレス2社、薄板建材、特殊鋼が各1社の合計10社。グループ連携の強化と、同時に『最適化』も課題だ。尼崎のNSSBコイルセンターが来春稼働予定で大阪・大正区の中山製鋼所構内に移る。工場建屋は11月に完成予定だ。一方、新日鉄住金・堺地区構内と大阪・大正区にはNSMコイルセンターがある。今回、MBSから自動車鋼板の販売が移管されたが、自動車や電機など、より効率的なコイルセンター機能や運営が必須。その意味で最適化を進めていきたい」

――造船向けも力を入れていく。

 「造船向けは従来も大阪支社厚板営業と中国支店を軸に営業してきたが、今回の移管で大幅に増えた。このため本社に造船鋼材営業部を新設し、三井物産グループとの連携を密にしながら、新規需要開拓も含めて強化していく。大阪支社で扱ってきた四国地区のヒモ付き営業は、四国支店に造船課を新設したことで秋には移管する」

――線材関係は。

 「線材および線材製品における三井物産グループの力を今回改めて感じた。関西は普通線材製品の大きな地盤で歴史的にも三井物産が深く関わってきた。それを引き継ぐことになった。旧MBS子会社で現在は当社子会社になっているNSSB三鋼販を軸に線材二次加工メーカーとの連携を密にしている」

――鉄以外では。

 「自動車のEV化に伴い鉄の使用量が減り、『マルチマテリアル化』が進展する。このため、産機・インフラ事業本部やグループ会社のNSSBマテリアルと連携して、アルミやその他素材との連携、開発、ソリューション営業などを全社で展開していく。大阪支社もその視点であらゆることに挑戦していく方針だ」(小林利雄)

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