武藤嘉紀が移籍したニューカッスルといえば、イングランドでも屈指の名門クラブだ。
ここでは、クラブを彩った名ストライカーたちを振り返ってみよう。
なお、ケヴィン・キーガンやアンディ・コールらは止む無く除き、近年の選手に限ったセレクトにした。
元イングランド代表FWアラン・シアラー(1996~2006)
ニューカッスルが誇る最強レジェンドであり、プレミアリーグ史上最多得点記録を持つストライカー。
あのガッザがこんなエピソードを語ったこともある。
ポール・ガスコイン
「俺がニューカッスルにいた時、彼はサウサンプトンでデビューした。(当時は)彼をよく知らなかったんだが、あの子は凄かったね。
試合後、俺は彼の肩に手を置いてこう言ったんだよ。『若いの、握手しようや。お前はいい選手になるだろう』ってね。
彼は『ガッザ、ありがとう』と言っていたよ。
あの子は(どんな形でも)得点できる。ボックス外からも、ボックス内でもね。そして、フリーキックはロケットみたいだ」
シアラーは1996年に当時世界最高額でニューカッスルへ移籍すると、1年目に得点王に輝くなど以後10シーズンに渡ってマグパイズでプレー。故郷でもあるニューカッスルにキャリアを捧げた。
引退後は降格危機にあった古巣に暫定監督として戻るも、危機的状況を救えず。現在は『BBC』で解説者を務めている。ちなみに、大のゴルフ好きで、毎年「マスターズ」を見に行っているとか。
元コロンビア代表FWファウスティーノ・アスプリージャ(1996~1998)
サッカー界屈指の悪童でありお騒がせ人物。現役時代は圧倒的なスピードを活かした快足FWとして暴れた。
ニューカッスルでの得点数は多くなかったが、強烈なインパクトを放った。
97-98シーズンのUEFAチャンピオンズリーグのバルセロナ戦でなんとハットトリックを達成!ニューカッスルを3-2を勝利に導き、セント・ジェームズ・パークを沸かせた。
実はチームミーティングをすっぽかしたことで試合前日に罰金を食らっており、本人はバルサ戦に出られるとは思っていなかったそう。
なんともらしいエピソードである。この活躍で一躍英雄になると、これ以後はニューカッスルでは飲み物代が一切タダになったとか。
引退後も香りつきコンドームを発売したり、武装強盗に襲われたりなどネタを提供してくれている。
元ウェールズ代表FWクレイグ・ベラミー(2001~2005)
もうひとりのお騒がせ選手。かつては豊富な運動量でピッチを駆け回り、快足を飛ばしてゴールに迫った。年齢を重ねるにつれてMF的な役割もこなすように。
ニューカッスルではシアラーと2トップを組み、リーグ最優秀若手選手賞に輝く活躍を見せた。
ただ、何かと問題行動も多く、ニューカッスル退団後はわざわざ会長やシアラーに中傷ともとれるFAXを送りつけ、在籍時からの不人気ぶりに自らダメを押ししてしまった…。
元イングランド代表FWアンディ・キャロル(2006~2011)
彼もまたお騒がせな面を持っていたストライカー。
ニューカッスルでは元ガールフレンドをめぐって同僚DFスティーヴン・テイラーの顎を折ったことも…。
190cmを超える長身を生かした高さ強さを武器に、ニューカッスル史上最年少記録の17歳262日でデビュー。2部落ちした2009-10シーズンには17ゴールを決める活躍でプレミア復帰に大貢献を果たす。
翌シーズンも前半戦で大暴れすると、冬移籍のデッドラインデイにリヴァプールに電撃移籍。だが、結局フィットすることはできず…。
怪我の多さもキャリアを傷つけているが、昨年1月にはスーパーゴールで復活ぶりもアピールしている。
元セネガル代表FWパピス・シセ(2012~2016)
デンバ・バとのセネガル代表コンビを結成したシセ(デンバ・バはフランス生まれ)。
驚異的な身体能力を持つが、強引なプレーに走るのではなく、ポジショニングと駆け引きの巧さでゴールを狙う賢いストライカー。
2012年1月に加入したニューカッスルでは、デビュー戦でゴールを決めるなどいきなりインパクトを放った。チェルシー戦での変態的スーパーゴールはもはや伝説だ。
この仰天ゴールをピッチ上で目撃したチェルシーFWディディエ・ドログバは笑うほかなく、タッチライン際で敵将だったアラン・パーデュー氏と一緒に笑顔になってしまったほど。
パーデュー氏は「私は彼にこう言ったんだ。『カモン、ディディエ。君もあれは讃えなきゃいけないね』って。彼はただ笑っていたよ」と当時の秘話を明かしている。
なお、シセは現在中国でプレーしている。
今季の開幕戦でトッテナムと対戦するニューカッスル。武藤の出場と活躍にも期待したい。