全ての人に開かれた教会に 新上五島出身、前田万葉枢機卿 インタビュー

 カトリックで法王に次ぐ地位の高位聖職者になった新上五島町出身の前田万葉枢機卿(69)が10日、同町で開かれた「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録を記念するミサと式典に出席。長崎新聞のインタビューに応じた。

 -潜伏キリシタン遺産が世界遺産になった。
 「過去には信教の自由がなく、信徒が差別された時代があった。世界遺産になったことで互いの命を尊重し、差別しないことを引き継いでいかなければならない。最終的には世界平和や非暴力、非核につながる」
 「きょうも暑い中、教会にあふれるほどの信徒が集まってくれた。世界遺産になった感謝や喜びに充ちている雰囲気を感じた」

 -過去に差別や迫害があったことに、わだかまりを感じる信徒もいると思う。
 「それは乗り越えられると思う。それが(私たちの)信仰というもの。信徒だけでなく、すべての人に開かれた教会にしなければならない」

 -ローマ法王来日を今後もバチカンに要望するか。
 「日本に行きたいという気持ちが法王本人にある。来年、再来年までには来日する可能性が高いのではないか。私自身も法王と話したが、可能性は強いような印象を受けた」

 -古里への思いは。
 「懐かしい海が底まできれいに見えて、魚がいそうとか、サザエが取れそうという気持ちになる。素晴らしい環境で育ったと誇りに思う」

世界文化遺産登録を祝うミサであいさつする前田枢機卿=新上五島町、頭ケ島天主堂

© 株式会社長崎新聞社