メルセデスF1「フェラーリに対する優位性は小さいが、だからこそ後半戦が楽しみだ」

 メルセデスのテクニカルディレクターを務めるジェームズ・アリソンは、2018年シーズンの結果は、メルセデスと最大のライバルであるフェラーリとの間のたゆまない開発競争で決まるだろうと考えている。 

 2018年シーズン前半戦のメルセデスとフェラーリは激しい戦いを繰り広げており、コースと状況に応じてそれぞれが代わる代わる優位に立っている。

 メルセデスのルイス・ハミルトンは、夏休み前のドイツ、ハンガリーGPで2連勝をあげ、フェラーリを抜いてチームを首位に導いたが、現在のメルセデスのフェラーリに対する優位性は小さく、すぐに状況が変わり得ることをアリソンは認めている。

「差はいずれも小さい。それがチャンピオンシップランキングが目まぐるしく変わる理由だ」とアリソンは述べた。

「面白いのは、前半戦の12レースのうち、誰もがその週末で最速だったと認めたマシンが優勝したのは5回しかないんだ」

「7レースでは最速ではないマシンが優勝している。我々メルセデスが3回、フェラーリが2回、レッドブルが2回だ」

 競争の激しいF1の世界ではいつものことだが、チームの開発力は1年を通して維持されなければならない。メルセデスとフェラーリにおいては小休止などはあり得ないとアリソンは主張する。

「2018年はとても面白い年だ。非常に小さな違いや、ミス、もしくは個人の才能が発揮された瞬間や、また一方で幸運や不運といった要素が、レースの終わりに誰が微笑むかを決めている」

■中速、高速コーナーに強いメルセデス

「そのどれもが決まっているわけではない。残りのシーズンでの開発競争、速い者、ミスを犯さない者、ずっとめげないでいる者……決まりきった言い方だが、実際にこうしたことが、この目が離せない素晴らしい年の結果を決めるのだ」

「誰が勝つかは我々にもライバルたちにも誰にも分からないから、レースがエキサイティングになっている」

「怖くもあるが、そのため後半戦が楽しみにもなっている。何にもまして厳しいシーズンにおいて、最後に笑って立っているのは我々だろうかと考えたりね」

 アリソンは、今ではメルセデスのマシンW09について基本的な性質を把握しており、フェラーリのSF71Hに比べて弱点があることを認めている。

「シーズンを通して開発競争が変化するなかで、コースごと、レースごとに変わる傾向があるが、比較的頻繁に出るパターンがいくつかある」

「確かに数レースにおいて、フェラーリと比べて少し馬力がなかった。彼らの年間を通しての開発力は非常に印象深い」

「ほとんどのコースにおいて、フェラーリよりコーナーリングでは優位にあるが、低速コーナーでは彼らに分があるときがある。だが中速から高速コーナーでは通常は我々の方が彼らよりも速い」

「リヤが強く制限されるようなコースでは、彼らは我々よりやや強い。しかし、その差は小さいよ」

「我々はピットストップではより速い傾向があり、彼らはスタートが良い傾向がある。だが、我々も最近のレースでは、ファクトリーのコントロール部門のスタッフの尽力のおかげで、スタートが良くなっているようだ」

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