WEC:トヨタ、第3戦シルバーストンで新エアロを投入。一貴「再舗装による特性の変化が楽しみ」

 6月16~17日に行なわれた『第86回ル・マン24時間』で歴史的勝利を収めたTOYOTA GAZOO Racingは8月17~19日、イギリス・シルバーストンで開催されるWEC世界耐久選手権第3戦で2018/19年シーズンの開幕3連勝、また2017年シーズン後半からの6連勝を狙う。

 2018年5月から2019年6月の第87回ル・マン24時間までの1年強にわたって行なわれることから“スーパーシーズン”の名で開催されている今季のWEC。シリーズは5月のスパ・フランコルシャン6時間、6月のル・マンと現在までに2戦を終え、いずれのレースでもTOYOTA GAZOO Racingのセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、フェルナンド・アロンソ組8号車トヨタTS050ハイブリッドが総合優勝を飾っている。

 また小林可夢偉、ホセ-マリア・ロペス、マイク・コンウェイの布陣でシーズンを戦う僚友7号車トヨタTS050ハイブリッドも2戦連続で総合2位表彰台を獲得。トヨタは同じLMP1クラスを戦うライバルチームに対して、シリーズポイント争いで大きなリードを築いている状況だ。

 そんななかで迎える第3戦シルバーストンは、2017年シーズンの勝利をはじめ過去2勝を挙げているほか、2012年から毎年ポディウムフィニッシュを達成している相性の良いサーキットだ。

 トヨタは、2018年初頭に路面の再舗装を実施した同地から始まるスーパーシーズン中盤戦に新たなボディワークを投入する。これはストレートスピードを伸ばす目的で開幕2戦で使用したローダウンフォース仕様のエアロに対して、最高速を犠牲にしつつもコーナーリングスピードを高めるために必要なダウンフォースをより多く得られるハイダウンフォースバージョンのエアロパッケージだ。

 2017年シーズン、トヨタTS050ハイブリッドはこのハイダウンフォース仕様のエアロで開幕戦シルバーストンをはじめ、富士、上海、バーレーンなどで勝利を手にしている。

 悲願のル・マン制覇を果たした今、2014年以来2度目となるWECシリーズチャンピオンの獲得を目指して戦うTOYOTA GAZOO Racingの村田久武代表は、第3戦シルバーストンを前に次のように語った。

「短い夏休みの後、今週末に再開するレースが楽しみです。ル・マン優勝の余韻は残りますが、我々はつねに次のレースとその目標に向かっています」

「特にシルバーストンでは今シーズン初めてハイダウンフォース空力仕様のクルマを導入するので、周到な準備をして週末のレースに臨みます。ライバルたちも(EoTの再調整などによって)競争力を上げてくるでしょうから、我々も全力を尽くし表彰台の頂点を目指します」

■アロンソ「F1での経験を基にチームを助けたい」

2018年ル・マン24時間でワン・ツー・フィニッシュを飾ったトヨタTS050ハイブリッド

 また、日本人ドライバーとして初めて日本車でル・マンの総合優勝を成し遂げた8号車トヨタTS050ハイブリッドの一貴は「ル・マンでの勝利の後、信じられないような数週間を過ごしました。多くの祝福やメッセージを頂き、本当に感謝しています」とコメント。

「まだ気持ちは高揚していますが、照準を切り替え、シルバーストンで強力なパフォーマンスをお見せできるよう集中します。再舗装されたことで、シルバーストンのトラック特性がどのように変わったのかもとても楽しみですし、このレースからハイダウンフォース空力パッケージを使うことになるので、予選や決勝へ向けての準備で、練習走行から忙しくなるでしょう」

 一貴の僚友で、7月のF1イギリスグランプリで再舗装後のシルバーストンを走行しているアロンソは、自らの経験がチームの助けになればいいと語る。

「何週間かのインターバルを経て、ふたたびトヨタTS050ハイブリッドでレースを戦えるのを楽しみにしています。もちろん、その間も僕はとても忙しく過ごしてきたし、チームもシルバーストンへの準備のために同様だったというのは知っているよ」

「ル・マンとは異なり、シルバーストンはとてもよく知っているサーキットのひとつだ。また、僕はすでに再舗装されたトラックを経験しているから、その知見がチームの助けになればと思っているんだ。これまでのところ、僕たちは開幕戦から完璧といえるシーズンを過ごしてきているから、今週末もこの流れを継続していきたいね」

 一方、2戦続けて総合2位となっている7号車トヨタTS050ハイブリッドの可夢偉は「シルバーストンは高速サーキットで、レースを戦うのが楽しいサーキットなので今週末を楽しみにしています」と第3戦を心待ちにしている様子。

「僕らのクルマはスパとル・マンで示したとおりの速さがあるので、シルバーストンでもチャンスがあると思っています。7号車にとっての“今季初勝利”を飾るべく、クルー全員で努力を続けています。しかし、もっとも重要なのは、(8号車を含めた)チーム全体で好結果を得ることで、それを成し遂げる自信はあります」

 約2カ月ぶりに再開されるWECスーパーシーズンの第3戦シルバーストンは8月17日(金)に計2回のフリープラクティスが実施され、翌18日(土)は3回目のプラクティスと公式予選、19日(日)に6時間の決勝レースが行なわれる。

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