70代の8割以上が「遺贈」を認知——「遺贈」に関する意識調査2018

国境なき医師団日本(会長:加藤寛幸、事務局長:ジェレミィ・ボダン)は、近年「法定相続人がいない」「社会への恩返しがしたい」などの理由で関心が高まっている「遺贈」に関する現状や課題を明らかにすることを目的に、2018年6月22日~28日の7日間、全国の20代~70代の男女1200名を対象に「遺贈に関する意識調査2018」をインターネット調査し、集計結果を公開いたしました。(調査協力会社:株式会社ネオマーケティング) 

・70代の8割以上が「遺贈」を認知 全体の約5割に遺贈意向

・年代問わず、人道支援や医療支援など社会貢献を目的とした遺贈が好まれる傾向

そもそも「遺贈」とは?

「遺産を子どもや配偶者などの法定相続人に継承させる以外に、遺言に基づいて法定相続人以外の特定の個人や団体に遺産の一部または全部を譲り渡す」ことを指します。遺贈先として、親しい友人やお世話になった人だけでなく、NGO・NPO法人などの団体にも、遺産の一部または全部を継承できます。別名”レガシーギフト”とも呼ばれ、【遺言による新しい寄付の形】として注目されています。国境なき医師団への遺贈も増加しており、遺贈寄付として託された遺志は、医療・人道援助活動を通して多くの命につながっています。 

「遺贈に関する意識調査2018」の全文はこちら

遺言書作成に70代の約6割が前向き。「遺贈」の認知度は70代の8割以上!

遺言書準備の必要性を理解している人は70代で約6割と、高年齢層ほど遺言書準備は”自分ごと“と捉えていると言えます。また、「遺贈」の認知度は40代から特に上昇し、70代で85.5%と8割以上に達することが分かりました。一方で、遺贈の意向度は年代によって大きな差はなく、約5割に遺贈意向があることが判明しました。さらに詳しく見ると、遺贈への認知や理解が深まるほど、遺贈の意向が高まる傾向も見受けられます。他の回答を見ても「専門家の意見を聞きたい」「遺贈についての知識を身に付けたい」「遺贈を検討したい」という回答が多く、遺贈に対して学ぼう、取り組もうという意識が高いことがうかがえます。近年は幅広い層で社会貢献意識が高まっていると言われますが、その中で遺贈寄付という形での貢献も注目され始めていると考えられます。 

役立てたいのは人道支援・医療支援などの“社会貢献”。使われ方の透明性・信頼性がポイント

 遺贈の最大のメリットとして「遺産の託し先を自分で決められること(46.1%)」が挙げられました。さらに「遺贈が社会現象化すればもっとよい社会になる」という意見も多く見られ、自分らしい人生の生き方や終わり方を考える人にとって、遺贈は今後注目のトピックと言えます。遺贈をする場合、どの年代も共通して「人道支援」「医療支援」「災害復旧支援」など社会貢献に役立てたいという意識が高い結果となりました。一方で、遺贈への不安要素として「寄付した遺産の使われ方」や「寄付する団体選び」などがあげられ、受遺者側の信頼性が問われていることが伺えます。

家族・親族の遺贈についてはどの年代も5割以上が賛同。話し合いは、法事やお盆に

家族や親族が遺贈を希望した場合の賛否について、賛同するという回答が最も多かったのは「自身の子ども」、次いで「自身の親」「自身のその他親族」「自身のパートナー(夫・妻)」という順になりました。男女年代別で見ると50代女性が他の年代と比べて低く、いずれの項目も5割を下回り、特に「自身のパートナー(夫・妻) 」への賛同については4割弱です。回答者の中では親子2世帯という家族構成が多いことから「子育て」や「親の介護」などを考慮しての回答であることが推測されます。家族・親族と話し合う適切なタイミングとして「親族の法事」「お盆」「冠婚葬祭」など家族・親族が集まる状況が挙げられた一方で、「タイミングは関係がない」という結果が6割を超えていることから、話し合う機会はいつでも得られるという認識であることもうかがえます。 

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