ザ・ローリング・ストーンズの潤沢なアーカイブのなかから、未発表のライヴ映像や音源を発表するシリーズ「フロム・ザ・ヴォルト」。今回は1999年に行われた「ノー・セキュリティ・ツアー」のなかから、北米での最終公演地となったサンノゼでのステージが発掘された。
資料によると、このツアーでは比較的小規模なアリーナを巡ったからか、これまでどのステージもオフィシャルに放映されたことがなかったそうだ。たしかに、MCでも「地元のみなさん」なんて呼びかけたり、舞台装置も比較的シンプルで、いかにも「蔵出し」の風情たっぷり。ホームビデオ感さえ嗅ぎ取ってしまうのは、期待しすぎだろうか(いや、もちろん複数台のカメラで撮影され、スイッチングも躍動感にあふれています)。
それにしても今、2018年のひどい暑さのなかこの原稿を書いているわけだが、暑い日にアツい音楽を楽しむのはいいものだ。辛いカレーを頬張るように、ミックの熱演をぜひ、かぶりつきで楽しんでいただきたい。
(ユニバーサルミュージック・4000円+税)=玉木美企子