【U-12アジア選手権】「追加点、取るばい!」―西武森に憧れる侍U-12代表主将が3安打7打点の大暴れ

本塁打を放った侍ジャパンU-12代表・栗山大成【写真:Getty Images】

インドネシアに大勝の日本、主将の栗山は柵越えの2ラン「嬉しいです」

 台湾・台北で開催されている「第10回 BFA U12アジア選手権」は14日、大会2日目を迎えた。予選ラウンドグループAの日本はインドネシアに21-0の4回コールド勝ち。3番を打つ栗山大成は初回に先制の犠飛、3回に2ランなど、3打数3安打7打点と大暴れ。今大会初白星に大きく貢献した。

 打球はグングンと伸びていった。11-0と大量リードの3回、1死三塁で打席に入った栗山。真ん中付近に来た初球に迷わずバットを振り抜くと、打球はライトスタンドへ。さらにリードを広げる2ランに「嬉しいです」と顔がほころんだ。6年生になって3本目の柵越え本塁打。「世界を相手に打てたことは、今までで一番、嬉しい」と、侍ジャパンでの一発は格別だ。

 初回には、1死三塁でライトへ犠飛を放ち、先制点をもたらした。イニング間の円陣では、地元の熊本弁で「追加点、取るばい!」。その言葉通り、2回には点差を広げる適時二塁打を打ち、3回の第3打席でソロ本塁打。同じ回にまわってきた第4打席では2点適時二塁打と、西武・森友哉のフルスイングに憧れる12歳は3打数3安打7打点と大当たりだった。

 飛距離には自信がある。両翼90メートルの球場で柵越え弾を放ったことがあり、それを知った同じ侍戦士たちは「スゲー!」と興奮。学校の運動場で友達と野球をして遊んでいると、打球はネットを越えてライト後方にあるプールに入ったこともある。

「プールに入れるから友達から打つなって言われたこともあります」

 さらにプールの先のマンションの駐車場まで飛ばしたこともあり、その飛距離は約100メートル。仁志敏久監督は「(柵越え本塁打という)こういう経験をすると、もっと強く飛ばしてやろうとか、いい意味で欲が出てくる。どうしても試合に勝つとなると、日本の小学生は小さくこじんまりしてしまいがちなので、あの快感を忘れないでほしいなと思います」とさらなる成長に期待を寄せた。

仁志監督も信頼「キャプテンらしい子はそういう雰囲気を持ってプレーしている」

 栗山はU-12代表の正捕手であり、キャプテンでもある。自チームでは先輩に混じって5年生からレギュラー捕手を務め、経験を積んできた。仁志監督は「少年野球で上手な子はピッチャーやキャッチャーを行ったり来たりするのですが、大成はキャッチャーが主なポジション。キャッチャーとしてプレーしている自負がある」と選出した。また、セレクションで選手選考に目を光らせながら、キャプテンも探っており、「動き、プレーぶりを見ていると、キャプテンらしい子はそういう雰囲気を持ってプレーしている。この中では大成がふさわしいかなと思いました」と、チームリーダーに指名した。

 U-12代表のスタメンマスクは練習の賜物だ。1995年の春夏と日南学園の投手として甲子園に出場した父・憲士さんが練習相手。「ティーバッティングをしたり、公園の階段を走ったり、公園でノックをしてもらったり、素振りを見てもらったりしています」と栗山。2学年上の先輩から譲り受けたマイキャッチャー防具を身につけ、自宅の庭でワンバウンドしたボールをストップする練習もしているという。キャッチャー防具があることで「幅広くキャッチャーの練習ができるようになりましたね」と憲士さんは話す。

 キャッチングは投手経験のある憲士さんの球を受けて磨いてきた。速球を「捕れん、捕れん」と言いながら。投手目線でどんな捕手がいい捕手なのかも教わってきた。そんな練習を積み重ね、今は「みんなよりボールも触る数が多いし、いろいろと指示を出せるところが楽しいです」と捕手の面白さを感じている。

 大会連覇に向け、心強いエールも受けている。2年前の前回大会でキャプテンを務めた星子天真とは、地元・熊本で通っている体幹トレーニングのジムが一緒。奇しくも同じくキャプテンを務めることになり、大会前には「頑張ってこいよ」と声をかけられた。負けるわけにはいかない。「ホームランは嬉しいんですけど、ちょっと、フライが上がりすぎた」と、満足もしていない。

「決勝でまたチャイニーズ・タイペイと当たって勝ち、絶対に優勝、2連覇をしたいです」

 金メダルに向かって、U-12代表の先頭を走る。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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