長崎県も障害者雇用 水増しか 算定方法誤った可能性

 中央省庁の障害者雇用の水増し問題を受け調査していた長崎県は20日、長崎新聞社の取材に対し、国のガイドラインに基づかず障害者雇用率の算定方法を誤っていた可能性が高いことを明らかにした。現時点で障害者と確認できていない16人を障害者として算入していた。県人事課は「故意ではなく、厚生労働省のガイドラインの確認が甘かったと思う」としており、詳しく調べている。中央省庁の水増し問題は、本県にも波及した格好だ。

 障害者雇用促進法に基づき公的機関や企業は一定割合以上の障害者雇用が義務付けられている。国や自治体は模範となるため法定雇用率を企業より高い2・5%(3月末まで2・3%)に設定している。厚労省のガイドラインは原則、障害者手帳での確認を求めており、例外的に産業医の診断書なども認めている。
 県人事課によると、昨年6月時点で障害者として算入した99人のうち16人について現時点で障害者手帳などを確認できていない。当時の障害者雇用率は2・49%としていたが、仮に16人を除外すれば2・08%となり、当時の法定雇用率を下回っていたことになる。
 人事課は「これまで担当者がどう算定してきたのかさかのぼって調べる。今後は適正に対応する」としている。本年度の雇用実態は調査中。県教委も雇用実態を「調査中」としている。
 長崎新聞社が県内全21市町にも現状を確認したところ、いずれも現在雇用している障害者は障害者手帳などで確認済みとし、雇用率の水増しはないと回答した。法定雇用率を下回っている自治体は一部あった。
 中央省庁の水増しについて、県内のある自治体担当者は「国からは日ごろ『法令順守を』と厳しく指導されており、その国がこうでは困る」とぼやいていた。

障害者雇用水増し問題
中央省庁が本来なら対象にならない職員を障害者として算入し、法律で定められた障害者雇用率の義務を形式上達成していた問題。障害者雇用促進法は企業規模などに応じ、一定割合の障害者を雇うよう義務付けており、企業は未達に対し納付金を課せられる。

© 株式会社長崎新聞社