写真展「見るのがつらい」 横田めぐみさんの母・早紀江さん

 北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさん=失踪当時(13)=の母早紀江さん(82)が20日、川崎市アートセンター(麻生区万福寺)で開かれている「めぐみちゃんと家族のメッセージ 映画上映会・写真展」を訪れた。めぐみさんにまつわる40枚の写真を見つめながら、早紀江さんは「だんだん見るのがつらくなってきますね。(拉致から)40年たっても何も変わらない状況。人生の半分がカラーで、もう半分は暗い色なんですよ」と話した。

 この日は、残された家族の苦悩などを描いた25分間のドキュメンタリーアニメ映画「めぐみ」が上映された。鑑賞した親子連れらに、早紀江さんは「わたしはあの時の悲しくて、つらいことを思い出したくないので映画を見られないが、この国に住んでいる限り、自分自身の問題に置き換えて関心を持ってもらいたい」と呼び掛けた。

 6月の米朝首脳会談から2カ月が経過。拉致問題は進展がみられず、「何とか良い方向に動いてほしい。毎日息をのむ思いで見つめている状態です」と苦しい胸の内を明かした。入院中の夫、滋さん(85)の体調は安定し、リハビリにも励んでいるという。「年だからどうなるか分かりませんけどね。できるだけのことをして、悔いがないように過ごしたい」と述べ、めぐみさんとの再会を願い続ける。

 写真展は入場無料で24日まで。午前9時~午後7時半(24日は午後5時まで)。問い合わせは、市人権・男女共同参画室電話044(200)2688。

横田めぐみさんとの思い出の写真を見つめる早紀江さん(右)=川崎市麻生区の市アートセンター

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