障害者雇用水増し 県が20年間誤算定 県教委でも 9年連続、法定下回る

 中央省庁の障害者雇用の水増し問題を受けて調査していた長崎県は21日、過去20年間、国のガイドラインに基づかない誤った方法で障害者雇用率を算定していたと発表した。少なくとも2010年から9年連続で法定雇用率を下回っていた。長崎新聞の取材に県教委も誤った方法による算定を認め、「調査中だが、少なくとも複数人は障害者手帳などを確認できなかった。ガイドラインの認識が甘かった」として詳しく調べている。
 障害者雇用促進法に基づき公的機関や企業は一定割合以上の障害者雇用が義務付けられている。国や自治体の法定雇用率は2・5%(3月末まで2・3%)に設定。厚生労働省のガイドラインは原則、障害者手帳での確認を求めており、例外的に産業医の診断書なども認めている。
 県人事課によると、6月時点で障害者として算入した18人について手帳や産業医の診断書などの確認をしていなかった。県は18年度の障害者雇用率を2・51%としていたが、実際には法定雇用率を下回る2・06%。資料が残る10年度以降は、すべての年度で法定雇用率を下回ると判明した。
 県人事課は手帳などがなくても、自己申告書や主治医の診断書などを基に、障害者として算入。こういった誤った方法が漫然と引き継がれ、少なくとも20年前から続いていたという。
 古川敬三総務部長は「ガイドラインは認識していたが十分に確認していなかった。県民におわび申し上げる」と陳謝した。
 また、県教委によると、18年度に障害者として算入した189人のうち、少なくとも教員の複数人は手帳や産業医の診断書などが確認できなかった。18年度の障害者雇用率は2・21%で法定雇用率(2・4%)を下回っており、県教委は「実際の雇用率はさらに下がるだろう」としている。

障害者雇用率の算定方法を誤っていたことについて陳謝する古川総務部長(中央)ら=県庁

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