金属行人(8月22日付)

 8月15日、日本は平成最後となる「終戦の日」を迎えた。日本武道館の全国戦没者追悼式を見ると、参列者の高齢化が時代の流れを感じさせる▼先月末、ハワイ・オアフ島のパールハーバー(真珠湾)を訪れた。太平洋戦争の引き金となった場所。現在も湾にはアメリカ海軍の軍事拠点があり、一部はビジターセンターとして慰霊塔や博物館が立ち並び貴重な資料が公開されている▼湾内には真珠湾攻撃で沈んだ戦艦アリゾナと乗組員を追悼するアリゾナ記念館が浮かぶ。そして湾内フォード島には戦艦ミズーリが記念館として係留されている。この戦艦の甲板上で日本は1945年9月2日に降伏文書に調印した▼開戦前の40年、すでに米国の粗鋼生産は日本の8・8倍、船舶保有量では2倍の規模があったという。艦内や資料を見学すると、改めて日本にとって「無謀な戦いだった」と認識する。艦体側面の鉄板が一部大きく曲がっているのは沖縄戦で受けた神風特攻機の衝突跡だと聞かされ、さらにむなしさを感じる▼日本でも靖国神社の遊就館や昭和館、東京大空襲・戦災資料センターなど戦時の暮らしや出来事を学べる施設は多くある。戦後生まれが総人口の8割を超えた今、もう一度戦争や平和を真摯に学ぶ必要があると思う。

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