県立大映研 初の映画制作 宇久島が舞台

 長崎の学生映画の先駆けに-。県立大映画研究会が、初めての映画制作に取り組んでいる。長崎県佐世保市の宇久島を舞台に、島に暮らす人々の温かさや自然の美しさを描く「しらあいの赦(ゆるし)」。原案・脚本・監督を務める情報システム学部3年の宮本紘生さん(20)、プロデューサーの片平梓さん(22)は「若い世代で映画作りが広がるよう、“轍(わだち)”をつくれたらうれしい」と意気込んでいる。
 研究会は昨年4月に発足。24人が所属し、映像制作やコンテストへの出品、映画祭の運営に参加している。
 宮本さんは昨年の夏、大学のフィールドワークで初めて宇久島を訪れた。白い砂浜と青い海、迫りくる満天の星、気さくな島人、過疎化や高齢化など島が抱える問題-。島を構成するさまざまな要素が、宮本さんの中に「白」と「藍色」というコントラストとなって印象深く残り、島のリアルな姿を表現したいという思いに駆られた。
 今年の春には、県内で撮影された映画「こはく」にインターンスタッフとして参加。携わる人々のきらきらした目と熱意に心を揺さぶられ、現場でしか味わえない空気感に“中毒性”を覚えた。
 撮影の移動中、一緒に参加した研究会のメンバー3人に、温めていた構想を見せた。「もっとこんな展開にしたら、話に深みが出るんじゃない」。ストーリーやキャラクターづくりについて、途切れることなく語り合った。「いつか撮りたい」という思いは、「今すぐ撮りたい」という気持ちに変わった。
 映画は、島に住む少女と、島を訪れた1人の男との出会いを描く。少女や島人のぬくもりに触れ、男の過去や、抱えていた思いが明らかになっていく物語。9月下旬から島内で撮影を始め、年内の完成を予定している。
 タイトルの「しらあい」は、宮本さんが島の色だと感じた「白藍」という淡い水色のこと。宮本さんは「魅力に感じた『島の色』が出る、いい作品にします。映画を通し、これまで支えてくれた多くの人に感謝を伝えたい」と語った。

 ◆撮影資金を募集◆

 クラウドファンディングで、撮影費用の資金を9月13日まで募っている。詳しくはアドレス(https://motion-gallery.net/projects/shiraai_info)。

宇久島が舞台の映画「しらあいの赦」の制作に挑む宮本さん(右)と片平さん=西彼長与町、県立大シーボルト校

© 株式会社長崎新聞社