いま、公共交通の定義が転換期にある!?
前回のコラムで「公共交通の定義とは時代背景や国によって変化する」ことについてタクシーやバスの例でご紹介
しました。今回はその後編として、次世代の公共交通についてお話ししたいと思います。
地図マップ、乗り換え検索、タクシーの配車アプリ、カーシェア、自転車シェア…
ICTによって移動手段もいろんなものが繋がり、Webを中心に新しいサービスも増えて、ここ数年で随分便利になったのを実感されている方は多いと思います。
中でも、電車、バス、飛行機と移動手段ごとにバラバラだったサービスは、利用する側の出発駅から目的駅を示せば、乗換えの駅や時刻などを教えてくれるモバイルアプリなども広く浸透しました。
年々現在地を認識する精度も向上していて、出発駅ではなく出発地点と到着地点を入力すれば、地図上に徒歩、バス、タクシーまで組合わせた経路を提案してくれるようになりました。中にはウーバー(Uber)をはじめとしたライドシェアサービスを組み合わせるものまであります。
ちなみに今年2018年に入ってから、筆者の周りではいわゆる乗換え検索ではなく、Googleマップの経路検索利用者がぐっと増えたように思います。
乗り換え検索に「自転車シェア」が含まれる時代に
また最近では、自転車シェアも乗換え検索に含めるサービスも始まりました。
乗換え検索や、出発地点と到着地点を結び、公共交通の最適経路を検索できる「駅すぱあと」を、ヤフー(Yahoo Japan)などへ提供するヴァル研究所では、「mixway」というサービス名で実証実験をスタート。札幌のコミュニティサイクル「ポロクル」とは2018年5月22日~8月31日まで、東京ではドコモ・バイクシェアと2018年7月31日~9月30日まで実施しています。
様々な移動手段をミックスする手法は世界的な潮流
このように、いろいろな手段を組み合わせて、最適な移動を提案するサービスは、日本のみならず世界的な潮流です。
例えば欧州では、フィンランドやドイツなどを中心にどんどんサービスが進化。ライドシェア、カーシェアなども加わり、これらの決済などが一括で出来るものもあります。
また、利用するたびに料金を支払うのではなく、雑誌や動画の1カ月視聴し放題のような定額制も導入など、様々なサービスも試行されています。日本でも同様のサービス導入に期待したいところです。
これらのサービスは「モビリティ ミックス」(Mobility Mix)や「モビリティ アズ ア サービス」(Mobility as a Service, MaaS)と命名され、ちょっとした注目キーワードになってきています。
こんな社会的なうねりの中で、「公共交通」の定義は今もどんどんかたちを変えています。自転車シェア、カーシェアなど、移動手段でシェアできる空間やモノはすべて「公共交通」と呼ぶ時代をもう迎えているのかもしれません。
[Text:楠田悦子]