エアコン整備、猛暑で加速 相模原・県央の公立小中学校

 今夏の記録的な猛暑を受け、神奈川県の相模原・県央地域で公立小中学校にエアコンを整備する動きが加速している。全10市町村のうち、既に7市町で公立小中学校全校の普通教室にエアコンが完備済みだが、残っていた相模原と伊勢原の両市が相次いで計画前倒しや新たな設置方針を明らかにしたほか、清川村も導入に向けた検討を進める。

 相模原市は市立中学校全37校の普通教室でエアコンが完備されているが、市立小学校が未完了で、本年度末時点で全72校中46校まで設置を終える見通しだった。しかし、今夏の猛暑を踏まえ、加山俊夫市長は22日の定例会見で、残る小学校26校について計画を前倒しして、来年度の夏休み中に設置を完了させる方針を打ち出した。

 同市では、新学習指導要領に伴う授業時間の増加を見据え、来年度から夏休みを「8月24日まで」と従来より1週間短縮する方針を掲げている。そのスケジュールも考慮し、エアコンの導入を急ぐという。

 伊勢原市も対策に乗り出す。高山松太郎市長は23日の定例会見で、来年度から市立小中学校全14校の普通教室へのエアコン設置を目指す方針を明らかにした。現状では、小中学校の音楽室など一部の特別教室には設置されていたが、普通教室には設置がなく扇風機のみだった。

 同市は政府の補助金を活用し、導入時期の検討を進める考え。高山市長は「今般の暑さを考慮すると、早急に対応する必要がある。財源確保に努め、見込みが立てば来年度から整備に取り組む」と述べた。

 清川村は村立小中学校全4校のうち、宮ケ瀬小、宮ケ瀬中の小中2校の普通教室が未設置。村担当者は「完備する方向で設置方法や財源確保など必要な検討を進める」と説明した。

■夏休みの延長はなし

 今夏の猛暑を受け、文部科学省が熱中症事故を防ぐ狙いから全国の自治体に夏休み期間の延長などの検討を求める通知を出しているのに対し、相模原・県央地域の10市町村の公立小中学校ではいずれも夏休みを基本的に延長しない見通しであることが分かった。各市町村教育委員会が神奈川新聞の取材に答えた。

 延長しない理由として多く挙がったのはエアコンの完備。厚木、秦野、大和、海老名、座間、綾瀬の6市と愛川町の7市町が公立小中学校のすべての普通教室にエアコンが導入済みで、「熱中症などのリスクを避けながら屋内での学習環境が確保できる」(厚木市など)といった理由が目立った。熱中症対策のガイドラインを運用していることを挙げた自治体もあった。

 残る3市村からは「屋外活動は比較的涼しい午前中に行う」(伊勢原市)、「今のところ延長の予定はない」(相模原市)、「学習に支障が出ないよう窓の開放など柔軟に対応する」(清川村)といった声が聞かれ、現場の運用や工夫で乗り切る構えだ。

相模原市役所

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