おしゃれな女性、もんぺ姿に激変  横浜、戦中のアルバム紹介

 市民から寄贈された日記やアルバム、はがきなどから激動の昭和期を振り返る講演会が25日、横浜市中央図書館ホール(同市西区)で開かれた。3人の研究者が個人的な資料から当時の世相や生活、戦争や平和への市民の率直な心情について読み解き、約120人が聞き入った。

 「家族の記録から見る横浜の近現代史」と題した講演会で、図書館内にある市史資料室の調査研究員・羽田博昭さんは、昭和初期に「令女純情連盟」(R・J・R)横浜支部を組織した故・篠原あやさんが残した、1940年のアルバムを紹介。大さん橋(中区)や県立三ツ池公園(鶴見区)で華やかな衣装を身にまとってモダンな生活を楽しんでいた文学少女らが、わずか数年後にはもんぺ姿にならざるを得なかった世相の変化を写真で見せた。

 横浜開港資料館調査研究員の吉崎雅規さんは、かつて担当した特別展「時計屋さんの昭和日記」の主人公・下平政熙さんが生涯を記した日記を解説。「家族のうち半分以上が亡くなった記録があり、わが身に起こったことのように感じられる。(日記によって)戦争の悲惨さを体感できる」と述べた。

 出征兵士と家族らが交わした軍事郵便について調べる横浜都市発展記念館調査研究員の西村健さんは「兵士の心情や戦争観、妻や娘を思う気持ちなど、戦史では分からない兵士の内面を知ることができる」とその価値を強調。「残された資料から戦争体験を把握し、後世に戦争の実態を伝える作業は重要」と語り、今後も継続する考えを示した。

 最後に、羽田さんは「家族の記録は極めてプライベートな内容が含まれている。個々に配慮して対応するので資料を持っている人を紹介してほしい」と来場者に呼び掛けた。

 講演会は、市史資料室の展示会「横浜の昭和を生きた人びと-家族と歩んだ戦前~戦後-」(9月17日まで)の関連イベントとして開かれた。

日中戦争が激しくなった1940年に撮影された篠原さんの写真から、モダンな女性たちがいた横浜の都市生活を紹介する羽田さん =横浜市中央図書館ホール

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