「孤立の病」に理解を 薬物依存症者や家族が訴え 横浜

 薬物依存症の当事者とその家族の支援について考えるフォーラムが26日、横浜市南区で開かれた。「孤立の病」といわれ、長期の治療を要することへの理解や必要なサポートについて専門家や当事者が語り、およそ200人が理解を深めた。

 症状が回復するまでに家族が取るべき対処法などについて講演したのは、国立精神・神経医療研究センターの近藤あゆみさん。

 依存症を「その人が社会の中で自立し、自分の責任を果たして生きる力を奪う病気」と解説。実例を挙げつつ、依存症の子は「親は自分のことを分かってくれない」、親は「なぜ治療を受けないのか」と互いに不満を募らせ、相手をコントロールしようとする事態に陥りやすいと指摘した。

 その上で「相手に変わってほしいときは、自身の内面に目を向けることが大事」と強調。家族の依存症が回復しなければ自分の不安感も消えないと考えるのではなく、「大変な状況の中でも自分に何ができるかを考えることが、回復に向けた一番の早道」と説いた。

 当事者や家族も体験を明かし、長男が大学生の頃に危険ドラッグに手を出したという男性は「どうすれば長男を自助グループにつなぐことができるか」と苦悩した過去を振り返った。

 長男は幻聴などの副作用に苦しんだ末、回復のための民間施設「横浜ダルク」に入寮。今では仕事をしながら自立した生活を送り、「親が適切な距離を保ち、きちんと対応をすれば必ず回復する。希望を持って頑張ってください」と家族の依存症に悩む人たちに呼び掛けた。

 フォーラムはNPO法人横浜ひまわり家族会などが主催。関係者によるトークセッションも行われた。

「子どもが薬物依存症になると親は自分の過ちを探してしまう」と家族が陥りがちな傾向を指摘する近藤さん=横浜市南区の南公会堂

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