秦野たばこ祭「ナイアガラ」廃止 例年クライマックス飾る

 秦野市最大の観光イベント「秦野たばこ祭」で例年クライマックスを飾る仕掛け花火「ナイアガラ」が、来月行われる本年度開催から廃止されることになった。主催の実行委員会は安全面での指摘を受けて廃止を決めたと説明。さらに、2007年から続く青森ねぶたのプログラムも廃止が決定。実行委は「来場者の安全を確保し、ナイアガラに代わる新たな企画を充実させたい」としている。

 実行委によると、ナイアガラは40年以上前、水無川河川敷に仕掛け花火を設置して始まった。当初約200メートルの長さだったが次第に長くなり、近年は約480メートルにまで延長。2日間の祭りを締めくくる壮大な光の滝が毎年人気を集めていた。

 しかし7、8年前、参加者から「火の粉が目に入った」と苦情があり、今年5月から開いた運営委員会でも、川沿いの人混みの危険性を指摘する声が相次いだ。「兵庫県明石市の歩道橋事故のようなことが起きかねない」「人混みで救急車両が通行できるか分からない」などの意見が出た。

 近年多発するゲリラ豪雨で川が増水した場合、川伝いに仕掛けを設置できない事態を懸念する声もあり、設営工事費を含め約300万円の予算がかかるナイアガラの廃止を決めた。

 たばこ祭の予算は、70回目の記念開催だった昨年は6700万円(決算額)だったが今年は5500万円に抑えられた。仮に補助金などが出たとしても「安全面を第一に考えており、実施は難しい」(秦野市観光課)という。

 運営委では、青森ねぶたについても「秦野の祭りという観点から原点に立ち返り、見直してはどうか」との意見を受けて議論を重ね、廃止を決めた。実行委によると、青森ねぶたは2007年、古谷義幸前市長が第60回の開催時に導入。毎年、秦野青森県人会のメンバーと市民が引き手などを担ってきた。同県人会の猪股安里会長は「秦野の祭りで青森のねぶたを受け入れてくれてありがたかった」と話し、来年度開催以降の復活にも期待している。

 第71回たばこ祭は来月22、23日に開催。ナイアガラに代わるイベントとして、サーチライトで水無川沿いなどを照らすほか、打ち上げ花火を昨年より500発多い2500発に増やす予定だ。

「秦野たばこ祭」のクライマックスを彩った「ナイアガラ」(市提供)

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