「英雄」たたえる声明拒否、さっさとゴルフ マケイン氏死去でトランプ大統領

By 太田清

2009年6月、米ホワイトハウスで民主、共和両党の会議に出席したマケイン上院議員(右)。中央は当時のオバマ大統領(ロイター=共同)

 米共和党重鎮のジョン・マケイン上院議員(81)死去に際し、トランプ大統領がその功績を評価し「英雄」とたたえる声明を側近が準備したにもかかわらず、その発表を拒否し、短いツイートを行うにとどめていたことが27日までに明らかになった。米紙ワシントン・ポスト(電子版)が伝えた。 

 声明はサンダース報道官やケリー首席補佐官らが25日のマケイン氏死去前に準備し、若干手直しされた後、トランプ大統領の許可を受け、遺族に送るとともに発表するだけとなっていたが、トランプ氏はこれを拒否。「最も深いお悔やみと敬意をご家族にお伝えしたい」などと短い投稿をツイートするだけにとどめた。ツイートはマケイン氏の人柄や業績への言及はなかった。 

 マケイン氏死去に対しては、2000年大統領選で共和党の大統領候補指名を争ったブッシュ(子)元大統領のほか、08年大統領選を争ったオバマ前大統領ら党派を超えて弔意を示す声が相次いだ。また、カナダのトルドー首相やマクロン・フランス大統領、メイ英首相ら海外の首脳から哀悼の意を示す声明が続いた。 

 一方、英大衆紙デーリー・メールによると、トランプ氏はマケイン氏の死去のわずか17時間後に、バージニア州のゴルフ場でゴルフをする姿が目撃された。ゴルフ場の周りではトランプ氏支持者に混じって「インチキ大統領」「今すぐ辞めろ」などと叫ぶ抗議グループメンバーらも多数集まった。 

 マケイン氏の葬儀ではブッシュ、オバマ両氏らが弔辞を読む予定だが、トランプ氏は遺族の意向で出席しない見通し。

 マケイン氏は与党共和党にありながら、トランプ政権の移民政策や対ロシアなどの外交政策を公に批判。トランプ氏はマケイン氏のこうした姿勢にいらだちを隠さなかったとされる。トランプ氏が大統領選中、ベトナム戦争で捕虜となった経歴を持つマケイン氏について「捕虜になったから英雄になった。私は捕虜にならなかった人が好きだ」と、侮蔑する発言をしたことなどもあった。 (共同通信=太田清)

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