新たな「聖地」に 諫早市スケートボード場

 7月1日に供用を開始した長崎県諫早市久山町の市スケートボード場に市内外から愛好者が集まっている。市によると7月の利用者は357人。うち約6割が市外からの来場者だった。県内で活動する唯一の日本スケートボード協会(AJSA)公認プロで、同市在住の槇大輝さん(29)は「県内の新たな聖地になれば」と期待を込める。
 大村湾に臨む美しいロケーションの中、初心者から上級者までが楽しんでいる。真新しいスケートボードに恐る恐る片足を乗せて駆けだす子どももいれば、小型のハーフパイプで勢いよく加速し空中で華麗な技を繰り出す上級者の姿もある。
 槇さんは、競技の専門家として市の整備計画に加わった。安全面への配慮や補修しやすく劣化しにくい素材選びなどについて助言し、施設に反映された。約750平方メートルの敷地内には、技を決めるための六つの構造物(セクション)が配置され、槇さんは「上級者も楽しめるが、初心者や中級者の技術向上も意識した設計になった」と話す。
 かつて県立総合運動公園北側の駐車場の一角に、1996年完成の通称「北口」と呼ばれた県のローラースケート場があり、県央地域のスケートボード文化の中心を担っていた。しかし「長崎がんばらんば国体」開催を控え、同所に市中央体育館の建設が決まり2010年に閉鎖された。
 その後、愛好者がスケートボード場の建設を求める署名活動をし、行き場を失った愛好者が公園などで滑っていると危険だと市民から市に意見が寄せられた。また2020年東京五輪の競技に採用されるなど社会的な認知度も上がってスケートボード場の建設が決まった。市による騒音測定などを経て、周りに住宅がない久山港埋め立て地に新たに整備された。
 槇さんは「多くの先輩から『北口』で技術やマナーなどを多く学んだ」とスケートボードを始めたころを振り返る。その上で「伝統を引き継ぎ、世代間交流などで県内競技のレベルアップとマナーアップに貢献したい。将来的には諫早で初心者向けの講習やスクールを開ければ」と夢を語る。

さまざまな世代が集まるスケートボード場=諫早市久山町
華麗な技を決める槇さん

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