ワールドカップ後に森保一監督を招聘した日本代表。来月の代表戦に向けた新たなメンバーが近く発表になる。
注目点のひとつは、代表から引退した長谷部誠の“後任人事”だろう。ここでは、ポスト長谷部になりうるJリーガーを特集する。
稲垣祥(サンフレッチェ広島)
シーズン序盤からJ1首位を走っている広島。城福監督が指揮する“闘うサッカー”の象徴ともなっているのが稲垣であろう。
中学時代までFC東京の下部組織に在籍し、元々はテクニシャンタイプの選手だったという稲垣。しかしU-18へ昇格できず、帝京、日本体育大学と進学する中、運動量を武器としたハードワーカーとしてのプレースタイルを確立した。
彼を一言で形容するなら、敵を追い回す“闘犬”そのもの。無尽蔵のスタミナとJ1屈指のボール奪取能力は、かつてのイタリア代表で現ミラン指揮官のガットゥーゾを彷彿とさせる。
ちなみに稲垣が広島に加入したのは2017年。まだ森保監督が率いていた頃だった。しかし彼は本領を発揮できず、森保監督はシーズン途中、成績不振で辞任を余儀なくされることとなった。
あの頃から一回りも二回りも成長した姿を、日本代表で見せたいところだ。
守田英正(川崎フロンターレ)
J1で首位の広島を追走する川崎フロンターレ。昨年の覇者でもある強豪クラブにおいて、大卒1年目でレギュラーに定着しているのが守田英正だ。
力強いボール奪取とフィジカル的な強さに加え、両足でのボールコントロールや判断のスピード・正確さなどに優れる総合力の高いMF。
流通経済大時代から「大学No.1」の呼び声も高かった23歳は、キャンプで鬼木達監督の信頼を勝ち取り、今ではチームに欠かせない選手となっている。
さらに、前に中村憲剛、隣に大島僚太と、日本屈指のMFたちとプレーする中で日々成長を遂げており、先日の天皇杯・湘南ベルマーレ戦では1点ビハインドの後半から守田が出場すると、チームがガラリと変わり見事3-1の逆転勝利を収めた。
現在のパフォーマンスには間違いなく代表スタッフも注目しているはずで、今回のタイミングでいきなり森保ジャパンに招集されてもおかしくない気鋭の若手である。
橋本拳人(FC東京)
怪我で試合から離れているため今回入れるか迷ったが、やはり今、ボランチということであれば橋本拳人は外せない。
1993年生まれの25歳。アカデミー時代からFC東京でプレーし、ロアッソ熊本への期限付き移籍から復帰した2015年以降、様々なポジションができるユーティリティ性の高さで歴代の監督に重宝されてきた。
そんな彼が今シーズン、引退した石川直宏の背番号18を受け継ぐと、長谷川健太監督のもと強靭なフィジカルを活かしたダイナミックなプレーで不動のボランチとして君臨。中盤が安定したことでチームは優勝争いに加わっている。
残念ながら現在は右足のハムストリングを痛め戦線離脱中。橋本を失ったチームが以降2勝2分3敗と低迷していることからも、存在の大きさが感じられる。
中盤で奪ったボールを展開し、強力なミドルシュートや前線への飛び出しでゴールも狙える橋本。彼が日本代表に初選出される日は遠くないはずだ。
中山雄太(柏レイソル)
現在アジア大会に出場しているU-21世代の中心的存在で、2020年の東京五輪で主将を務めることを期待されているのが中山雄太だ。
日本サッカー界のエリート街道を歩む彼は、2016年のU-19アジア選手権で冨安健洋とCBコンビを形成し、無失点での大会初制覇という偉業を達成。昨年のU-20ワールドカップでは2戦目から主将として16強入りに貢献した。
センターバック、左サイドバック、ボランチを高次元でこなすがゆえ、未だどこがベストポジションかはファンの間でも意見が分かれる。しかし彼の身長(181cm)や高い守備技術、左足でのビルドアップ能力を考えると、ボランチが最適かもしれない。
彼も現在は負傷で離脱しているが、一刻も早くA代表入りしなければならない逸材である。
森保一監督がまずは誰を招集するかが大きな注目を集める日本代表。この9月のキリンチャレンジカップでは、7日に札幌ドームでチリ代表と、11日にパナソニックスタジアム吹田でコスタリカと対戦する。