パMVPはホークス柳田、セは丸or鈴木? OPSから見る12球団打者の貢献度

ソフトバンク・柳田悠岐、広島・丸佳浩と鈴木誠也(左から)【写真:荒川祐史】

柳田のOPS1.105はパ・リーグでダントツの数字

 OPS(On plus slugging)は、セイバーメトリクスでは古典的な指標の一つだ。長打率と出塁率を足した単純な数値だが、得点との強い相関関係がある。打者の貢献度を計る数値として重要視されており、MLB公式サイトの打撃成績ランキングでも公式記録として示されている。

 OPSが高い選手は打率が高く、長打が多いうえに、四球を見極める技術も高い。つまり、打ち取りにくくて、チームに多くの得点をもたらす選手だということになる。OPSが1を超えればMVP級、.900で各球団の主力打者、リーグ平均はパが.723、セが.735となっている。それでは、セパ両リーグのOPS10傑を見ていこう。

【パ・リーグ】
1柳田悠岐(ソ)打率.352 長打率.674 出塁率.431 OPS1.105
2山川穂高(西)打率.271 長打率.569 出塁率.378 OPS.947
3秋山翔吾(西)打率.322 長打率.534 出塁率.404 OPS.938
4近藤健介(日)打率.320 長打率.485 出塁率.435 OPS.920
5浅村栄斗(西)打率.312 長打率.528 出塁率.383 OPS.911
6吉田正尚(オ)打率.306 長打率.522 出塁率.386 OPS.908
7井上晴哉(ロ)打率.293 長打率.515 出塁率.373 OPS.888
8森友哉(西)打率.293 長打率.496 出塁率.374 OPS.870
9松田宣浩(ソ)打率.261 長打率.509 出塁率.330 OPS.839
10中田翔(日)打率.274 長打率.507 出塁率.325 OPS.832

 ソフトバンクの柳田がOPS1.1を超え、断トツの数字となっている。長打率にも出塁率にも打率の数字が含まれているので、OPSは打率が高い選手は必然的に高くなる。現在、打率.352で2位の西武・秋山に3分近い大差をつけている柳田の数字がよくなるのは当然と言える。現在、パ・リーグの本塁打王の西武・山川は、打率が.271と低いことでOPSは2位。打点トップの西武・浅村は、他選手に比べると出塁率が低くてOPSは5位となっている。だが、西武はOPS.900を超える打者が山川、秋山、浅村と3人もいる。森友哉も.870と中心打者が軒並み高いOPSを記録しており、西武打線の圧倒的な強さがわかる。

セ・リーグは丸、鈴木、山田とOPS1超えが3人も

【セ・リーグ】
1丸佳浩(広)打率.332 長打率.677 出塁率.490 OPS1.167
2鈴木誠也(広)打率.342 長打率.671 出塁率.450 OPS1.121
3山田哲人(ヤ)打率.319 長打率.612 出塁率.441 OPS1.053
4ビシエド(中)打率.348 長打率.570 出塁率.423 OPS.993
5筒香嘉智(デ)打率.295 長打率.597 出塁率.383 OPS.980
6バレンティン(ヤ)打率.280 長打率.568 出塁率.385 OPS.953
7坂本勇人(巨)打率.327 長打率.513 出塁率.414 OPS.927
8糸井嘉男(神)打率.310 長打率.499 出塁率.424 OPS.923
9宮崎敏郎(デ)打率.322 長打率.551 出塁率.358 OPS.909
10岡本和真(巨)打率.305 長打率.524 出塁率.383 OPS.907

 セ・リーグはやや打高投低の傾向にあるのか、OPSが1を越える選手が3人もいる。広島の丸は昨年、打率、本塁打、打点の主要3部門の打撃タイトルは獲得しなかった(最多安打は獲得した)が、MVPに輝いた。OPSがリーグ2位の.903。1位は同じ広島の鈴木誠也でOPS.936だったが、鈴木はシーズン終盤に離脱し115試合の出場にとどまった。丸は全試合出場。トータルでの貢献度で丸がMVPになった。

 今年も丸と鈴木がOPSトップの座を競り合っている。今季は両者ともに故障での離脱があり、条件的にはイーブンだ。広島がこのまま優勝すれば、この2人は有力なMVP候補になるだろう。3位には、自身3度目となるトリプルスリーに近づいているヤクルトの山田哲人。現在、首位打者の中日ビシエドが4位。本塁打王、打点王の二冠をキープしているバレンティンは6位だ。

 こうしてみるとOPSは、総合的な貢献度を見るうえで有効な数だということがわかる。ペナントレースはあと1か月半ほど。最終的にOPS1位となるのは誰だろうか?(広尾晃 / Koh Hiroo)

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