【病院中毒死】元看護師を鑑定留置へ 精神状態を把握

 横浜市神奈川区の旧大口病院(現・横浜はじめ病院)で2016年9月に起きた点滴殺人事件で、入院患者3人への殺人容疑で逮捕、送検された同院の元看護師久保木愛弓容疑者(31)の精神鑑定を実施するため、横浜地検が近く、鑑定留置を裁判所に請求する方針を固めたことが29日、捜査関係者への取材で分かった。

 事件は物証が乏しく、3人の殺害について関与を認めている同容疑者の供述が真相解明の鍵になっている。地検は供述の信用性を立証する上で、専門医による鑑定を行い、同容疑者の精神状態を把握することが不可欠と判断したとみられる。鑑定結果に基づき、刑事責任能力の有無や程度も確かめ、起訴の可否を判断する。

 神奈川署特別捜査本部はこれまで、いずれも16年9月に同院4階に入院していた当時88歳の男性2人、当時78歳の女性の体内に消毒液を混入させて殺害したとして、殺人容疑で同容疑者を逮捕。同容疑者は容疑を認め、動機に関して自分が勤務している時間帯に患者の死亡や容体急変、トラブルなどがあった際の「家族への説明が不安だった」などと供述している。一方で、捜査関係者によると、供述に一貫性を欠いたり、あいまいな部分もあったりするという。

 3人と同時期に死亡した入院患者の男性=同(89)=の遺体からも消毒液に含まれる界面活性剤の成分が検出されており、特捜本部は、同容疑者の関与の有無を調べている。

旧大口病院(現横浜はじめ病院)=7日

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