空き室活用、家賃補助 横浜市、低所得・高齢者など対象

 横浜市は、賃貸住宅への入居を断られやすい低所得者や高齢者、外国人、障害者らを対象に、空き室などを活用した家賃補助事業を今秋から始める。月額最大4万円を補助し、入居者の負担額を市営住宅の家賃相当に抑制。「住宅確保要配慮者」への居住支援の促進が社会的な課題となる中、空き室に悩むオーナーの理解を深めつつ、要配慮者が安心して暮らせる住環境を目指す。市によると、要配慮者への家賃補助は神奈川県内で初めて。

 昨年10月の改正住宅セーフティネット法の施行を受け、民間賃貸住宅のオーナーが、要配慮者の入居を受け入れる物件を都道府県や政令市、中核市に「セーフティネット住宅」として登録、国や自治体が改修費などを補助する仕組みがつくられた。

 市の新制度は、一定の要件をクリアし、要配慮者を受け入れたセーフティネット住宅のオーナーに対し、月額最大4万円を原則10年間補助。家賃債務保証料についても初回のみ最大6万円を補助する。

 対象は、耐震性や床面積(原則25平方メートル以上)などの要件を満たした物件。入居者は所得が月額15万8千円以下で、住宅扶助を受給していないことなどが条件となる。補助額は入居者の所得によって異なるが、負担額はいずれも市営住宅の家賃相当とした。

 市は2018年度、130戸を募集。関心のあるオーナーらを対象とした説明会を9月11日に開く。10月には不動産や福祉団体と連携し、市居住支援協議会を設立。相談窓口の設置や情報提供を行うほか、入居者の死亡後の遺品整理など、オーナー側の不安解消にも努めるとしている。

 セーフティネット住宅を巡っては、国が20年度末までに全国で17万5千戸の登録を掲げる。しかし、家賃滞納や孤独死への不安などを理由に二の足を踏むオーナーは多く、全国的に伸び悩んでいるのが実情だ。県によると、県内は横浜、小田原市各4戸、寒川町3戸、相模原市2戸、横須賀市1戸の計14戸にとどまる。県住宅計画課は「制度が十分に周知されていないことも要因の一つ」と分析する。

 15年の国勢調査によると、県内の高齢者世帯は約83万戸、外国人世帯は約9万戸、一人親世帯は約5万戸。

横浜市役所

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