日露経済交流を促進へ シベリア鉄道で新輸送ルート計画

 日本とロシアが経済交流を促すため、空路と海路に次ぐ第3の輸送手段としてシベリア鉄道を活用した輸送ルートを計画している。2018年度中に横浜港などからコンテナ貨物をモスクワに輸出する企業を対象にした実証事業を行うことで、課題を探りながら利用を促すことにしている。

 国土交通省によると、横浜港からモスクワにコンテナ貨物を運ぶ場合、欧州航路(南回り航路)を利用すると53~62日間かかる。一方、極東のウラジオストク港でシベリア鉄道に載せ替えると20~27日で到着するとみられている。

 一方で、鉄道輸送中の振動や温度、湿度の変化によって貨物が損傷する可能性が指摘されるほか、路線の長さから不測の事態などが懸念されてトータルの輸送時間の予測がつかないことなどが課題として挙げられている。

 シベリア鉄道の利用促進に向けた両国政府の合意に基づき、国交省は横浜港や神戸港、名古屋港などからモスクワに食品や日用品などを輸出する日本企業のコンテナを対象に、7つの実証事業を選定。ロシア鉄道と協力して利用促進に向けた課題を検証することにした。

 横浜港からは新潟産の精米を積んだ20フィートコンテナ1本が対象。ロシアの海運会社「FESCO」のコンテナ船が30日に出港し、ウラジオストク経由でモスクワに送る。

 横浜港本牧ふ頭で29日に開かれた出発式で、ロシア経済発展省のゴリコフ・セルゲイ次官は「このプロジェクトは両国の架け橋になることを期待する。ロシア政府はインフラを整備していく」、在日ロシア大使館のドミトリー・ビリチェフスキー臨時大使は「経済的な成果と投資チャンスをもたらすものと考えている」と歓迎した。国交省の松本年弘大臣官房物流審議官は「重要な輸送の選択肢になることを希望する」と述べた。

テープカットでシベリア鉄道による貨物輸送実証事業の実現を祝う関係者 =横浜港本牧ふ頭

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