【平成の長崎】「旅」博覧会 94日間で入場者188万人に 平成2(1990)年

 1990(平成2)年8月3日~11月4日の94日間にわたり、長崎市内で開かれた「長崎『旅』博覧会」(県、長崎市、長崎商工会議所主催)は、目標を40万人近く上回る約188万人の入場者でにぎわった。
 当時県職員で、常務理事として旅博協会に派遣された高木孝一郎さん(83)などによると、長崎県の活性化と同市の再開発を目的に、当時流行していた地方博の開催が決まった。テーマは公募し、観光都市・長崎にふさわしい「旅」に決定。市内各地に観光客を誘導しようと、市全体を大きな会場に見立てた。回遊型の博覧会は珍しかったという。
 メイン会場の松が枝埠頭(ふとう)には、「未来への旅」をイメージした企業のパビリオン、高さ135メートルのスカイタワーが並んだ。市内各地でコンサートなどのイベントがあり、長崎空港に超音速旅客機コンコルドが記念飛来した時は、5万人を超える見物客が押し寄せた。開幕直後は猛暑の影響で思うように伸びなかった客足も、旅博のPRを重ねた結果、終盤の週末には1日5万人以上が訪れた。
 旅博をきっかけに、県都の景観も変化した。海沿いに並んだ倉庫群の撤去が進み、港と市民の距離は近くなった。渋滞対策のため長崎バイパス西山トンネルの工事も始まり、21世紀に向けた街づくりが進んだ。
 開催延期や会場変更など紆余(うよ)曲折があった旅博。「最終日に総入場者数を知った時の感動は忘れられない」。高木さんは感慨深げに振り返る。(平成30年8月22日付長崎新聞より)

約188万人が訪れた長崎「旅」博覧会(1990年8月3日)=長崎市

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