高校生がMV制作 さいとうりょうじさん新曲と学校生活重ね

 神奈川県立西湘高校(小田原市酒匂)の生徒たちがミュージックビデオ(MV)の制作に取り組んでいる。横浜生まれのプロミュージシャンでギタリスト、さいとうりょうじさん(35)の新曲発表に合わせた企画の一環だ。完成作品は9月1日の同校の文化祭で発表されるほか、10月5日に東京都内で開かれるイベントでも披露される。

 部活動中の校庭、ピアノが置かれた体育館、生徒が雑談する放課後の教室-。何気ない自分たちの高校生活を凝縮した映像に、さいとうさんの「君と過ごしたこの青い街は…」という歌声が重なっていく。

 3分46秒のMVをつくっているのは1年8組の生徒たち。31日と9月1日にある文化祭に向けてホラー映画を制作していた7月、MVの話が舞い込んできた。

 きっかけは、担任の木村剛教諭(46)が受けた知人の音楽関係者からの誘いだった。

 さいとうさんは、同19日に2作目のアルバムを発売するのに合わせ、書き下ろした新曲「青い街」のMVコンテストを開催。プロアマを問わず公募しており、知人から応募してみてはと向けられたのだ。

 現在プロデュース業もこなすさいとうさんは2016年にデビュー。音楽・動画配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」のブルースチャートで初登場1位になるなど気鋭のミュージシャンだ。「プロの仕事に触れることで生徒が何かをつかんでくれたら」。木村教諭のそんな思いが受け止められた。

 コンテストで選ばれた1作品は10月5日に東京・池袋の映画館で開かれるイベントで披露されるが、生徒が手掛けた作品もコンテストの特別枠として上映されることが決定。生徒たちはMVに携わるディレクターから撮影方法やその技術を学んだり、曲に合う映像を考えたりと、想像の翼を広げてきた。

 今月28日には、さいとうさんのほか、音楽や映像業界のプロたちが参加しての撮影を実施。母校を舞台にして高校生活のいろいろなシーンを取り入れた。

 演出を考え、カメラを回した福田純也さん(16)は「曲の雰囲気から、カップルの日常を男の子の視点で撮影してみた。ストーリーを考えるのは楽しいですね」。学級委員として取りまとめた佐藤駿也さん(15)も「大人の力を借りながら、いろいろなことができることを学んだ」と、いずれも充実の表情を浮かべる。

 「学校教育と交わるとは思っていなかったので自分にとっても貴重な体験」という、さいとうさんはお披露目の日を楽しみに待っている。

 文化祭での上映は同校で9月1日午前10時から2回、午後1時から4回。10月5日のイベントは、JR池袋駅、東京メトロ東池袋駅近くの「池袋HUMAXシネマズ」で午後8時から(開場同7時45分)。チケットなどの問い合わせはSAITO RYOJI Film Festival実行委員会メールsr.filmfes@gmail.comで。

さいとうさん(中央)と記念撮影する生徒と木村教諭(左端)

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