76歳、大学院で福祉学ぶ 川崎の小学校で経験伝え

 川崎市麻生区の田園調布学園大大学院で福祉について学んでいる西村颯香さん(76)=宮前区平=が29日、中原区宮内の市立宮内小学校で授業を行った。シニアが福祉を深く学んで、学習の成果を地域に役立てることの大切さを子どもたちに伝えた。

 自宅でお年寄りを招いたミニデイサービスを行うなどボランティアを長く続けてきた西村さんは昨年4月、福祉の専門的な知識を得るため同大大学院人間学研究科の修士課程に入学。現在は2年生で、地域活動を続けながら学ぶ長期履修制度を利用して3年間で修士号取得を目指している。

 この日は、4年生の子どもたち約140人を前に、交通事故に遭った夫の介護を続け、最期をみとった経験から福祉全般に関心を持ったことを紹介。「介護で多くの人に助けられた。今度は助ける立場になって人の役に立ちたい」と、大学院で学びを再開したきっかけを語った。

 「研究テーマは、高齢者と子どもが日常的に触れ合うことで双方にどんな良いことがあり、笑顔になれるか。論文を書いて地域福祉に生かしたい」と西村さん。子どもたちは「介護で一番つらかったことは」「大学院の印象は」などと質問していた。

大学院で福祉を学ぶきっかけなどを語る76歳の西村さん=川崎市中原区の市立宮内小学校

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