米横須賀基地の下士官宿舎増設 艦船追加の乗員増に対応

 米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)内に、独身者向けの下士官宿舎が新たに4棟建設される見通しになった。米オバマ前政権のアジア重視政策で、イージス艦が同基地に追加配備されており、増える乗組員に対応するためとみられる。防衛省が31日、下士官宿舎などの整備に関する調査費8400万円を、2019年度予算の概算要求に盛り込んだ。

 横須賀市によると、基地内の敷地計約4万4千平方メートルに、新たな下士官宿舎が4棟建設され、約700室が用意される予定。

 同基地には今年5月、最新鋭の防空、弾道ミサイル防衛などを備えた戦闘システムを搭載するイージス駆逐艦ミリウスが入港した。予定されていたイージス艦3隻の増強が完了し、横須賀を事実上の母港とする艦船は原子力空母ロナルド・レーガンを含む13隻にまで増えた。

 市によると、追加配備された3隻の乗組員数は計約千人で、下士官宿舎が足りずに艦船内で寝泊まりする乗組員もいるという。

 一方で、追加配備以前から、下士官宿舎は慢性的に不足していたという。日本政府は同基地内に2001年以降、2棟を建設、1棟を現在、整備している。

 市によると、2棟はいずれも8階建てで、1棟(404室)は06年7月から、もう1棟(408室)は15年3月からそれぞれ使用を開始。整備中の1棟は8階建てで232室という。

 31日の概算要求では他に、浦郷倉庫地区(同市)に桟橋を整備するための調査費1億2900万円が計上された。同地区は旧日本海軍の火薬庫を米軍が接収し、現在は同基地の兵器部が本部、弾薬物揚場、弾薬庫として使用している。施設前面水域の一部は常時立ち入り禁止となっている。市は「米艦船に弾薬を安全、円滑に積み降ろしするため、桟橋を整備すると聞いている」と説明した。

 下士官宿舎と桟橋整備のための具体的な調査内容について、防衛省は市に「現在、米側と協議中」と答えたという。

米海軍横須賀基地(2011年撮影)

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