溶岩ドーム崩落想定し訓練 避難や情報伝達確認

 長崎県南島原市は2日、同市深江町で、雲仙・普賢岳の噴火活動で形成された溶岩ドームの大規模崩落を想定した避難訓練をした。南島原署や消防など関係5機関の職員や住民計約380人が避難経路や誘導、情報伝達の対応などを確認した。訓練は2015年に続き2回目。
 1990年に始まった噴火では、火砕流や土石流で水無川流域の島原市や旧南高深江町が大きな被害を受けた。溶岩ドームは推定約1億立方メートル(福岡ドーム53杯分)あり、大規模崩落した場合、流域の建物計約500戸が岩屑(がんせつ)なだれの影響を受けると試算されている。
 訓練は「午前8時、島原半島を震源とする震度5弱の地震と50センチの津波を観測。溶岩ドーム大規模崩落の危険が迫った」という想定。住民は徒歩や車で最寄りの避難所まで移動した後、同市の泉川病院医師らの救護所対応を見学したり、講習で簡易担架の作り方を教わったりした。
 深江町の主婦、下田ミツヤさん(69)は夫や2人の孫と参加。災害当時は計4年半の避難生活を余儀なくされたといい、「今でもたまに小さな崩落が自宅から見える。孫に災害の経験を伝えながら、今後も訓練に参加したい」。孫で大野木場小3年の竜聖君(8)は「実際に崩落したら怖いので、すぐに逃げます」と話した。

車で避難所に入る住民ら。奥は溶岩ドーム(平成新山)=南島原市深江町

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