【国民民主党 代表選】「国会議員の顔写真のみ。政策も書かれていない」広告こそが、党のダメな部分を象徴している|津村啓介氏インタビュー

9月4日に投開票される国民民主党代表選挙。現職の共同代表 玉木雄一郎氏とともに立候補を届け出た津村啓介氏にインタビューを行いました。
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安倍一強体制と対決していく姿勢を示していくために

−選挙ドットコム 編集部(以下、編集部)
当初、「無投票になるかもしれない」と言われていた国民民主党の代表選挙ですが、津村さんが10人の推薦人を集め、代表選が実施されることとなりました。改めて、今回立候補を決意された動機と意気込みをお聞かせください。

−衆議院議員 津村啓介氏(以下、津村氏)
玉木現代表ら執行部による党運営の路線に違和感を覚えていたことが代表選立候補を決めた第一の理由です。安倍政権に対抗していくために、野党共闘を進めていかなくてはいけない状況の中で、野党間の軋みが目立つようになってしまったのは現在の国民民主党の責任が大きいと思っています。

例えば、来年の参院選に向けて、一人区である長崎県で他の野党には事前の連絡もなく候補者を決めてしまいました。これが原因となり、立憲民主党はわが党の現職がいる参議院の二人区に候補者を擁立する方針を示すなど、かたくなな姿勢を示すにいたっています。これでは二人区で野党の票が分散し、与党を利することになってしまいます。私が国民民主党の代表に就任することで、「対決より解決」ではなく、「安倍一強体制としっかり対決姿勢を示してゆく方向に転換するきっかけを作りたいと考えています。

また、今は支持率が0%代の国民民主党ですが、多様な人材や政策など多くの素晴らしい魅力を持った政党です。そのことを知ってもらうためにも無投票ではなく、代表選挙を大いに盛り上げ、選挙戦を通して党の考えや人材を国民に知ってもらうべきだと思ったことも立候補の決め手となりました。

国会議員の顔と名前だけが書かれている新聞広告こそが「地方を向いておらず、訴える政策がない、今の党のダメなところを象徴している」と津村氏は訴える

−選挙ドットコム
代表選挙の街頭演説や玉木さんとの討論会を重ねる中で手応えは感じていますか?

−津村氏
告示日である8月22日に行った東京での街頭演説は、立ち止まって聞いてくださる方もほとんどおらず、惨憺たるものでした。現執行部を「政策の発信がなく、路線がブレまくっている」と指摘してきた私からすると案の定、といえる結果でした。
ただ、論戦を通じて玉木さんが新たに示した子育て支援策「コドモノミクス」や私が提示した尊厳死の法制化といった現代の課題に沿ったアイデアが、有権者のみなさんに届き始めたのか、回を重ねる度に反応がよくなってきている印象があります。

全国規模で代表選を行い、自民党と対峙する姿勢を示す

−選挙ドットコム
今回の代表選挙は14日間で15ヶ所をまわる、という非常に大規模な展開で行っていますね。

−津村氏
日本の政党でこれだけの規模で選挙を実施して、全国にいる党員のみなさんに代表を選んでもらうことができるのは自民党と国民民主党だけです。党員の数は自民党の5分の1ですが、自民党総裁選と同じかそれ以上の規模で代表選を実施して、「国民民主党は自民党のライバルなのだ」ということを示すことに意味があると思っています。

自民党は討論会を3回しか実施しませんが国民民主党は12回。また、安倍晋三現総裁も石破茂元幹事長も、政治家の家系に生まれた60歳代の国会議員ですが、私も玉木さんも世襲でない40歳代です。党の代表を決める構造そのものが現代の政治を象徴しているのではないでしょうか? 地域をまわりながら、きちんと政策をぶつけ合うことで、国民民主党が地方を大切にしていること、議論しながら前に進んでいることを示したいと思っています。

政策、ビジョンを訴え、国民民主党の政権運営能力を示していく

−選挙ドットコム
昨年9月の民進党代表選挙では前原誠司さんと枝野幸男さんが戦って、負けた枝野さんが主導する形で立憲民主党を作りました。11月の希望の党代表選挙では玉木さんに破れた大串博志さんが離党しています。今回の代表選挙でも同様に党が割れてしまうという心配の声もあったのではないでしょうか。

-津村氏
そのような声は少なくありませんでした。実際に私にも「負けたら離党しますか?」という質問がきました。その際には「勝つつもりでやっています!」と答えるのと同時に「絶対に離党しません」と答えています。
もともと私と玉木さんは大きく意見が異なるわけではありませんし、議論の中でお互いの良い部分は取り入れるなど、連日討論する中で意見はどんどん近くなっていっています。「すり寄りだ」と批判されるかもしれませんが、オープンに議論しながら、最終的に一緒になって政治を進めてゆくためにとても大切なプロセスだと思っています。

−選挙ドットコム
「対決より解決」ではなく野党共闘を進めてゆく、という津村さんの路線は一方で立憲民主党をはじめとした他の野党との違いが見えにくくなってしまう心配もあるのではないでしょうか。

-津村氏
国民民主党が他の野党と異なるのは「政権担当能力」を示せることだと思っています。野党として自公政権を厳しく追求するのは当然ですが、ポスト安倍政権、ポストアベノミクスのビジョンを他の野党は描けていないのが現状です。国民民主党としてはマイナス金利政策の転換、外国人労働者の受け入れ拡大、社会保障・税の一体改革、複数税率の見送りといった新しい経済政策の具体策を訴えて行きたいと思っています。

−選挙ドットコム
来年には統一地方選と参院選があります。代表に就任された際にはどのような方針で望みますか?

-津村氏
統一地方選については現有議席増を目標に、立候補を予定している約500名にポスター、名刺、リーフレットなどの印刷代として100万円ずつ配布したいと思っています。100万円あればポスターであれば3000枚以上印刷できます。これを地域で貼ってもらうようにお願いするのは大変なことですが、そうして地域の中で各候補のみなさんに汗をかいてもらうことで、党の足腰を鍛えて行きたいと思っています。
その後に迎える参院選では野党全体で改選過半数を目指し、それがかなわなければ開票日に代表の座を辞する決意で挑みます。

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