怪我に悪天候…。不沈艦隊、ヤマハ中須賀をはばむものなし/全日本ロード第7戦オートポリス

 天候によるレース中止やスケジュール変更も、中須賀克行(ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム)の優勝をはばむ要因にはならなかった。

 9月1~2日に大分県日田市のオートポリスで開催された、全日本ロードレース選手権第7戦は、天候に翻弄された。5月にオートポリスで行われた、四輪レースの全日本スーパーフォーミュラ選手権と併催の第3戦でも、荒天によりスケジュールが大幅に変更。全日本JSB1000クラスは天候が回復した合間をぬって開催されたが、スーパーフォーミュラは開催中止を余儀なくされた。

 そんな第3戦に引き続き、オートポリスの全日本ロードは今回も天候に振り回された。予選日である土曜はスケジュールの変更が重ねられた結果、JSB1000の予選とレース1を含む全クラスの予選、ST600クラスのレース1がキャンセルになった。

 度重なるスケジュールの変更にレース中止。ライダーたちにとって、集中やリズムを保つのが難しい状況だっただろう。そんななか、迎えた日曜の予選セッションで、ポールポジションを獲得したのは、中須賀だった。

 中須賀は鈴鹿8時間耐久ロードレースで負った怪我を右肩に抱えてはいたが、「どんどん回復してきている」と、すでに体調に不安は感じていなかったようだ。

 好天のもとドライコンディションで行われた決勝レースでも、中須賀は勝ちパターンに持ち込んだ。ホールショットは加賀山就臣(チームカガヤマ)に奪われ、序盤は渡辺一樹(ヨシムラ・スズキMOTUL)にリードを許した。しかし中須賀は渡辺一樹、さらにトップを奪った野左根航汰(ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チーム)の背後にぴたりとつけて様子をうかがい、勝負とみたのか15周目の最終コーナーで野左根をパスする。

「トップに立った野左根選手がいいペースで走っていたので、後ろについて体力を温存してから前に出ました」と、作戦どおりに野左根をパスした中須賀。

 方や交わされた野左根は中須賀に離されないよう早めに仕掛ける作戦だったというが、「ラスト5周くらいで中須賀選手が仕掛けてくると思っていましたが、それが最終コーナーとは想定外でした」と“不意打ち”のオーバーテイクだったことを明かしている。

 残り5周でトップに立った中須賀。そこから2番手以下を引き離すのが勝ちパターンだが、今回は野左根がねばり、大きく引き離されることはなかった。それでもチェッカーを受けたときには、中須賀は野左根に対し約1.1秒のアドバンテージを築いていた。

 今大会の優勝により、中須賀は今季開催された9レース中8勝を挙げた。ヤマハ・ファクトリー・レーシング・チームの吉川和多留監督も「今大会は、天候の急変でスケジュールが大幅に変更されるなど、精神的にも厳しい戦いとなりましたが、中須賀選手はそうしたことを一切感じさせることなく20周のレースをしっかりと走りきってくれました」と中須賀の強さに太鼓判を押す。

 怪我も天候も、中須賀を止めることができることはできなかった。中須賀はこのまま、2018年シーズンのチャンピオン獲得までまい進し続けることになるのだろうか。

中須賀は終盤にチームメイトの野左根を交わすと、そのままトップでチェッカーを受けた

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