結成1ヵ月半で中学日本一 ビーチバレーチーム「NAGASAKI」 砂浜の魅力 もっと広めたい

 ビーチバレーの全国中学生大会(8月・神奈川)で、本県の選抜チーム「NAGASAKI」が初出場で頂点に立った。出場47チームの中でも、ひときわシンプルなチーム名を、吉村英樹監督(柚木中教)は「考える暇もなかった」と笑う。それもそのはず、日本一のビーチバレーチームが結成されたのは、大会の1カ月半前だった。
 県バレーボール協会理事も務める吉村監督の「長崎にビーチバレーを広めたい」という思いがきっかけだった。五輪競技であるビーチバレーは、昨年から国体の正式競技に採用された。だが、九州で唯一正式なコートがない本県は、競技人口が少なく、中学生のチームもゼロ。「まずは大会出場を」。そう考え、6月の各市中総体で敗れたバレーボール部のエースたちに声を掛けた。「砂浜で日本一、目指してみないか」
 こうして集まった3年生4人は、6月下旬に活動を始めた。指導は各中学バレーボール部の顧問が担当。相浦中の内田匠紀と広田中の入来晃徳は佐世保、喜々津中の村田瑠衣と横山優は諫早を拠点に、体育館で2-2の練習に励んだ。そして、7月中旬。諫早市の結の浜マリンパークで行われた県内初のジュニア大会で、4人は初めて砂浜のコートに立った。
 高校生に交ざって挑んだ本当の“ビーチバレー”。「砂浜は思うように跳べないし、風でボールの動きが変わる」。4人は難しさと同時に、面白さも肌で感じた。この大会で内田・入来組が優勝、村田・横山組も健闘。チームは手応えと勢いを得た。
 その後、全国大会に向けて中学ルールの4-4の練習を開始。大村工高に試合相手を依頼し、実戦形式で連係を強めた。迎えた8月の全国大会。身長184センチの入来を中心に、チームは湘南の砂浜で躍動した。
 一度断たれた「夏の日本一」の夢を、ビーチでつかんだ4人。主将を務めた内田は「最初は不安だったけど、どんどんはまった。みんなで日本一になれて、楽しい1カ月半だった」と笑顔でこの夏を振り返った。
 吉村監督は「彼らとともに知った競技の魅力を、もっと長崎に広めたい」と新たな目標を掲げる。大急ぎで用意したという4枚のユニホームは、次のチームに引き継ぐ予定。「来年もこれを砂浜で見られたら」(吉村監督)。長崎にビーチバレーコートができる日も、そう遠くないかもしれない。

優勝を喜ぶNAGASAKIのメンバーと吉村監督(左)=藤沢市、鵠沼海岸

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