AIが漁場選定や需要予測 漁労長の“分身”システム

佐世保航海測器社の子会社が開発 水産資源守りつつ利益を上げる仕組み

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 船舶用航海機器の保守整備を手掛ける佐世保航海測器社(長崎県佐世保市)は、人工知能(AI)を活用し、漁業者の生産性向上を図るシステム構築を進めている。タブレットに過去5年分の操業日誌のデータを集積し、AIが漁労長の“分身”となってサポート。魚市場での需要予測も提供し、水産資源を守りつつ利益を上げる仕組みづくりを目指す。
 同社の水上陽介専務(37)が中心となって昨年12月に設立した子会社、オーシャンソリューションテクノロジーが担う。漁場選定などを担う漁労長の「長年の勘」やノウハウをデータ化。時間がかかっていた技術の継承をスムーズにし、後継者不足の解消につなげる狙い。
 操業日誌の情報を基に、魚が取れる可能性がある海域を割り出し、気象情報なども参考にしながらAIがピンポイントで導き出す仕組み。不漁のデータも「取れにくい場所という貴重な財産」(水上専務)として活用する。
 漁場の情報は、地図上に表示=画像参照=。過去の情報が一目で分かり、手書きだったデータ入力も簡単になり、業務の負担軽減、効率化も期待される。
 システムは大型巻き網漁船向けに開発。ギリシャ神話の海神にちなみ「トリトンの矛」と命名した。6月から宮崎県の船団で試験的に導入している。10月にも販売を始め、実用化を目指す。
 将来的には漁協や魚市場と連携し、船上の漁業者がリアルタイムで取引情報を得られるようにする。魚価が分かれば、どの程度の漁獲量で利益が出るのかが判断でき、水産資源を守りながらの操業が可能となる。養殖や定置網など、ほかの漁法での導入も検討している。
 水上専務は「魚が取れるようになるシステムではなく、AIが操業を手助けして利益率が高い漁業を目指す。漁業の課題解決を図り、水産県の企業として地元に恩返しをしたい」と話している。

操作画面の一例。地図上に魚種ごとの漁場が表示される(オーシャンソリューションテクノロジー提供)