平塚の新ゆるキャラが人気 市図書館70年 読書好きの「ぶくまる」

 「ゆるキャラ」と呼ばれるご当地キャラクターに根強い人気が集まる中、平塚市で新たな「ゆるキャラ」が誕生した。市図書館の設置70周年を記念した「ぶくまる」。市では十数にも及ぶ「ゆるキャラ」が乱立、同図書館でも二つ目のキャラクターだ。職員が手作りした無料通信アプリLINE(ライン)のスタンプは売り上げも上々で、早くも平塚のPRに一役を買っている。

 積み上げた本を「ほうほう」とつぶやきながら広げる紫色のフクロウ。愛らしい姿だけではなく、劇画タッチで「御意」と答えたり、少女漫画のようなキラキラした瞳を向けたり-。そんな表情豊かなデザインがひそかな人気を呼び、市図書館が今月に発売したラインスタンプのダウンロード数は100を超えた。

 これまでも市図書館には「ぶっくん」と呼ばれるシラサギをイメージしたキャラクターがいた。だが、事業のPR役としては「動きをつけさせづらいデザイン」との理由から、外部有識者らでつくる市図書館協議会が昨年、新キャラクター作成を市に提案した。

 絵心のある北図書館館長(当時)の丸島隆雄さんが2月、文書作成ソフト「ワード」の描画機能を駆使してデザイン。誰でも描けるように簡単な図柄にし、知恵の象徴と呼ばれるフクロウをモチーフにした。

 丸島さんは4月に別部署に異動したが、6月にぶくまるのツイッターを開設するなど着々とPR。中央図書館職員の沼田実奈子さん(31)が新たにデザインしたラインスタンプの販売を今月から開始した。売り上げの一部は図書の購入費に充てられるという。

 「手書きタッチの方が親しみやすい。遊び心も入れながら日常的に使えるものを心掛けた」と沼田さん。予算を一切使わず誕生したぶくまるは今後、先輩のぶっくんと二人三脚で図書館を盛り上げていく。

 一方、これまで市などが作ったキャラクターは少なくとも18体。農産物をアピールするのが「あぐりちゃん」と「ベジ太」なら、海産物の宣伝は「ひらつかタマ三郎」。サイの姿をした「クルクル」がリサイクルを呼び掛ける。市秘書広報課も把握しきれず「まだあるかもしれない」。

 乱立の背景にあるのは、2008年ごろから始まった「ゆるキャラ」ブーム。一時は代表となる市公認キャラクターを作ろうという議論もあったが、組織の壁に阻まれ断念した。市職員の一人は「作りすぎてしまった。ブームは下火になりつつあるが、それでもイベントでは客寄せの効果はまだある」と話している。

「ぶくまる」のスタンプのデザインを担当した職員の沼田実奈子さん=平塚市浅間町の中央図書館、2018年8月撮影

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