<大ヒット盤> 家入レオ『もし君を許せたら』 作風が広がり、歌の表情は豊かに

家入レオ『もし君を許せたら』

 通算14作目となるシングル。この表題曲含め、曲ごとの音楽配信ではヒットが多い彼女だが、CDで何曲かまとめて聴くと、その作風が年々広がっている事がよく分かる。

 表題曲は、サスペンスタッチのドラマ『絶対零度』主題歌に合わせ、裏切られた相手への憎しみと愛しさが入り混じった一筋縄ではいかぬ失恋ソング。いつものパンチのある歌唱を抑え、繊細な歌声で哀しみを巧みに表現している。

 カップリングは、休日の着飾らない様子を描いたポップロック調の『めがね』と、頑張っている相手を見守り続けるというラブ・バラード(作曲は、いきものがかりの水野良樹)の『あおぞら』を収録。以前は自分と向き合う歌詞が多かった彼女だが、明らかに人とリンクした内容が増え、また歌の中で見せる表情も悲喜両面で豊かになっている。

 DVDでは、表題曲のミュージックビデオとメイキングを収録。本作の3曲を聴けば、日々成長を続ける若い世代に対して、より寛容でありたいと思うようになるはず。

(ビクター・CD+DVD初回限定盤A 1700円+税)=臼井孝

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