神奈川、児童虐待情報を全件共有方針 県と県警、連携強化

 児童虐待の防止や早期発見につなげるため、神奈川県の黒岩祐治知事は4日、県警との連携を強化する考えを明らかにした。県所管5カ所の児童相談所に寄せられた相談や通報など全ての事案を警察に提供するとし、「軽微なものを含めて県警も内容を確認できるようにする。今後も警察、市町村と連携し防止に全力で取り組んでいく」と述べた。

 県によると従来、児童相談所または県警に寄せられた相談は、県警との協定に基づき、子どもに外傷があったり、安全が確認できなかったりした場合、双方に連絡、照会する態勢が取られてきた。だが、夜間・休日などは県警からの照会に速やかに対応できないケースもあり、情報共有のあり方が課題に挙げられていた。

 同様の運用は高知、埼玉、愛知など8府県が導入済み。想定するのはデータベースなどで一元管理する仕組みだ。県は個人情報保護などの課題もあり、詳細は未定としつつ、本人や両親の氏名、虐待の種別などの情報を登録し、過去の相談事例も含めて双方からアクセスできるシステムを検討していくという。

 児童虐待を巡っては、香川県の児相で一時保護された5歳の女児が、東京都目黒区に親子で転居した後、事案を引き継いだ都内の児相が母親に女児との面会を拒まれ、接触できないまま亡くなるケースもあった。

 県内でも昨年度、横浜、川崎、相模原の3政令市と横須賀市を除く県所管5カ所の児相で受け付けた児童虐待の相談は過去最多の4190件。黒岩知事は相次ぐ相談に迅速、適切に対応する上で警察との連携強化の必要性を強調し、「児童相談所だけでなく、警察の目が光っていることで最悪の事態につながらないようになる」と話した。

神奈川県庁

© 株式会社神奈川新聞社