横浜の空き家倒壊の恐れ 所有者行方不明、解体へ代執行も

 横浜市は5日、同市神奈川区の所有者の行方が分からない老朽家屋について、放置しておけば倒壊の危険性があるとして、「空き家対策特別措置法」に基づき、10月12日までに解体されなければ略式代執行を実施すると発表した。同法は2015年5月に全面施行され、略式代執行が実施されれば、市内初のケースという。

 略式代執行は同年10~11月に全国で初めて横須賀市で実施された。18年3月末時点での国土交通省と総務省の調査によると、15~17年度の略式代執行の件数は全国で計75件、県内では横須賀の1件のみだった。

 横浜市建築局によると、対象の家屋は同区神奈川本町の1945年築の木造2階建て(延べ床面積約40平方メートル)。後方に傾いている上、劣化が著しい。所有者は建物と土地で異なる。

 今年6月には、強風の影響で1階出入り口の窓が外れ、道路側へ落下。通学路に利用される幅約2メートルの歩道に面しており、市は今後も家屋の部材が落下するなどして通行者に危険を及ぼす可能性が高いと判断、略式代執行の対象となる「特定空き家」に指定した。

 16年3月、地元消防からの情報を受け、市は所有者の調査などを開始。当時は所有者と別の家族が賃貸で生活していたが、市の勧めで翌17年に引っ越して以降、空き家となっていた。建物の所有者は国外へ転籍しており、連絡が取れない状況という。特措法では建物の所有者が確認できない場合、あらかじめ公告した上で略式代執行を行うことができる。

倒壊の危険が指摘されている横浜市神奈川区の家屋(同市提供)

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