8月に借金5と苦しんだロッテ 打線は低調が続くも配置転換の投手陣に光明

ロッテ・二木康太(左)と有吉優樹【写真:荒川祐史】

有吉とシェッパーズがシーズン途中に救援から先発へ

 8月に9勝14敗と負け越したロッテは、勝てるゲームを落とすことが多かった。8月1日の日本ハム戦は、8回表終了時点で7-1と6点をリード。しかし、8回裏に5点を奪われ1点差に迫られると、9回裏に益田直也投手が2点を失いサヨナラ負け。11日のオリックス戦も3-2とリードしていたが、8回裏に4点を失い逆転負け。22日の西武戦では3-2で迎えた7回表に一挙6失点すれば、翌日も5回終了時点で1-0とリードしていたが、6回に逆転を許して敗戦。8月は14敗を喫したが、そのうち6度が逆転負けだった。

 逆転負けが多かった一方で、劇的な逆転勝利もあったのが8月のロッテだ。19日の楽天戦では、0-6の8回表に3点を返すと、9回には打者一巡の猛攻で一挙5点を奪い大逆転勝利を収めた。ロッテ球団誕生50年目を記念した「LOTTE 50th」として東京ドームで主催試合を行った21日の西武戦は、0-2の5回に岡大海外野手が15球粘った末に同点適時打を放つと、藤岡裕大内野手が勝ち越し適時打。そして、中村奨吾選手がトドメの5号3ランで、一挙6点を奪い逆転勝ち。どちらの意味でも非常に印象に残るゲームが多かった。

 8月はリーグトップの13勝を挙げるボルシンガー投手、9勝の石川歩投手が故障で1軍登録を抹消され、さらには、チームトップの122.1回を投げる涌井秀章投手もファームで再調整となった。

 先発の台所事情がかなり厳しくなったが、二木康太投手、有吉優樹投手の頑張りが大きかった。二木は17日の楽天戦でプロ初完封勝利を挙げるなど、8月は5試合に登板し4試合でQS(6回以上自責点3以内)をクリア。1勝3敗と負け越したが、月間防御率2.35と先発の役割を果たした。

 シーズン途中に中継ぎから先発に転向した有吉は、14日の日本ハム戦からカード初戦の火曜日を任されたが、各球団のエース級に投げ勝って自身3連勝。8月は4試合に登板して3勝0敗、防御率2.05と先発陣を支えた。

8月の打線はチャンスメーカーとポイントゲッターが機能せず

 その他、16日の日本ハム戦で2年目の土肥星也投手がプロ初勝利、高卒2年目の種市篤暉投手、有吉と同じようにシーズン途中に先発へ配置転換となったシェッパーズ投手、先発・リリーフの両方をこなすチェン・グァンユウ投手らもアピールし、8月のチーム先発防御率は3.57。ボルシンガー、石川、涌井の穴をなんとかカバーした。

 リリーフ陣も疲れが見えてきたが、岩下大輝投手がセットアッパーを任され、唐川侑己投手、高野圭佑投手、成田翔投手らがビハインドゲームを中心に登板するなど、シーズン途中に昇格した投手陣が存在感を見せた。

 一方、打線は8月の月間チーム打率が.232、66得点と元気がなかった。

 19日の楽天戦では6点ビハインドを跳ね返して大逆転勝ちを収めたが、26日のオリックス戦から31日の日本ハム戦の4試合で奪った得点はわずか4点。8月は23試合戦ったが、3得点以内の試合は18試合もあった。

 1番打者に伊志嶺翔大外野手、平沢大河内野手、加藤翔平外野手、岡大海外野手が起用されたが、チーム全体で8月のトップバッターの成績は90打数19安打、打率.211。選んだ四死球もわずかに5つと、ほとんど出塁することができなかった。

 さらにポイントゲッターの4番・井上晴哉内野手は7月に打率.400、7本塁打、23打点の好成績で月間MVPを獲得したが、8月は打率.253、1本塁打、8打点、5番の角中勝也外野手も8月は月間打率.205、2本塁打、5打点と苦しんだ。チャンスメーカー、ポイントゲッターともに打撃の状態が上がらず、苦しい戦いを強いられた。

 シーズンは残すところあと1か月。上位からやや離されだしたが、なんとか食らいついていきたいところ。9月は勝って勝って勝ちマクって、2年ぶりにクライマックスシリーズ進出を果たしたい。(「パ・リーグ インサイト」編集部)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

© 株式会社Creative2